陽気なイエスタデイ

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2009年 02月 07日

超短編小説 『肖像画』

ある画廊に、いかにも大金持ち風の一人の
男が入ってきた。客は誰もいない。
男は壁面の大仰に飾られた絵画をぐるっと一瞥した。
画商が揉み手をしてその男にそっと近寄る。
「いらっしゃいませ!
 どのような絵をお求めですか‥‥?
 この入り口にある、壮大な北アルプスを描いた
 絵なんかいかがでしょうか?」
「風景画は嫌いだ!」
「それでは奥のほうに飾ってある、
 見事なバラの静物画なんかは‥‥?」
「そんなもんにようはない!
 肖像画が好きなんだよ!」
「すみません‥‥。わたしくしの店では
 肖像画は一枚も扱っておりません‥‥。」
「嘘を言ってはいけないよ!
 私はなるべくたくさんの肖像画が欲しいんだ!
 できれば同じ人物のもの。
 そうさなぁ、千人分ぐらい‥‥。」
「はぁ?」
「福沢諭吉でいいんだよ!」
ポケットから出した男の手には拳銃が握られていた。

by don-viajero | 2009-02-07 09:03 | 超短編小説 | Comments(2)
Commented by riojiji at 2009-02-16 14:25 x
わたくしも・・
  「諭吉の肖像画」が一番すきじゃ~~~

星 二つじゃ~~~~!
Commented by DON VIAJERO at 2009-02-16 21:12 x
「諭吉」を一杯持っている連中(オバカも含めて)は、
今現在の状況がお判りでないようでんな!


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