陽気なイエスタデイ

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2009年 06月 21日

超短編小説 『おくりびと』

私が5歳にとき、
父が祭りの夜店で買ってくれた亀の「亀吉」。

その父も一昨年、逝った。
父のあとを追うように昨年、母も逝った。
そんな二人を見送った亀吉が
昨日、死んだ。
おそらく大往生なんだろう。
みんなに可愛がられた。

亀吉が我が家に来たときの私と
同い年になった孫娘と一緒に、
頑丈なダンボール箱に入れ、
庭の隅に埋めた。小さなお葬式だ。

「おじいちゃん、死んだ亀吉はどうなるの?」
「そうさなぁ‥‥。
 天国ってとこで楽しく暮らすんじゃないかな?
「ふぅ~ん。」

孫娘は小さな手を合わせ、
「無事、亀吉が天国に行けますように‥‥。」

翌日、孫娘にこう言われてしまった。
「おじいちゃん、亀吉のお墓を掘り返してもいい?」
「どうしてだい?」
「だって、亀吉が無事天国に行ったか確かめたいの!」

by don-viajero | 2009-06-21 06:51 | 超短編小説 | Comments(0)


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