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陽気なイエスタデイ

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2009年 08月 10日

『珍説・桃太郎』

昔、昔、あるところにたいそう金持ちの家庭で、
何不自由なく育った桃太郎という者がいた。

一方、そのころ鬼ヶ島に拠点を構え、
青鬼のユキオ、赤鬼のイチロウを首領として、
金持ちから金品を盗り上げては、
下々の貧しい者たちに、その金品をばら撒くという
義賊団が勢力を伸ばしていた。

桃太郎は供を連れ、逆に彼らの金品を
奪い取ろうとさもしい企みを抱いていた。

決戦を控えた朝、鬼ヶ島を対岸に見据え、
話し下手の桃太郎は幇間の猿・ノブテル、
キャンキャン騒がしい犬のヒロユキ、
ケ~ンケ~ンとご主人様のオウンゴールを空から
見張っていたキジのタケオを前にして、
檄文を読み始めた。

「我が可愛い僕たち!金持ちというものは
 あくまでも踏襲(ふしゅう)しなければならない!
 近頃、頻繁(はんざつ)にその金持ちから
 盗みを働く輩がいる。
 これは、未曾有(みぞうゆう)の事件であり、
 適切な措置(しょち)をしなければ、
 世界が破綻(はじょう)してしまい、
 実体経済(じつぶつけいざい)がおかしくなる!
 すでに彼らの行為で世の中は低迷(ていまい)しておる。
 詳細(ようさい)は昨晩、説明した通りだ!
 彼らを打ち破ることは焦眉(しゅうび)の急である。
 この戦い、順風満帆(じゅんぽうまんぽ)で
 完遂(かんつい) しようではないか!
 皆の者!怪我(かいが)をせず、傷跡(しょうせき)を
 残さぬよう、しっかり働いてくれたまえ!!!
 エイ! エイ! オー!!!」

供の者たちは、いつしかどこかへ消え去ってしまい、
一人空しく、桃太郎のしゃがれた声だけが
波間に響いていた‥‥。
 

by don-viajero | 2009-08-10 12:35 | 超短編小説 | Comments(2)
Commented by riojiji at 2009-08-12 07:06 x
「みの虫国」以来のパロディー・・・最高です(笑)

しかしこれだけ 漢字が読めない人も珍しいですな~~
オバカ・・・と揶揄されても致し方ありまへん!
こんなオバカを首相にした痔眠・・・大きなショウセキを残しましたな(笑)
Commented by DON VIAJERO at 2009-08-12 17:49 x
調べた(笑)ところ、他には有無(ゆうむ)、思惑(しわく)etc。
養老孟司氏によると「語学障害」という病気?だそうです。

麻生さんが総理大臣になったころ、子どもたちは
「マンガばかり見ていても総理になれるんだ」って
喜んでいたが、今では親たちが、
「マンガばかり見ていると漢字を読めなくなる」
と戒めているらしい。

文脈から挟み込むことができなかったが、
「皆の者、惜敗を期してがんばろう!あっ間違えた!
 必勝を期そう!」


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