陽気なイエスタデイ

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2009年 09月 12日

小さな旅

学生生活最後の夏休み。
9月のカレンダーもあと数日で10月に替わろうとしていた。

そんな穏やかなある日。
暖かな陽射しに唆(そそのか)されるように、
ある目的を持って、伊那にいる山仲間のS氏のもとへ、
24段変速のサイクリング自転車に跨って出かけた。

「オレ、明日、このまま東京へ行こうと思うんだ!」
「まさか、自転車でか?お前にできるわけがない!
 無理、無理、絶対無理だよ!
 もし、明日、夜中までに東京に着くようだったら、
 俺はお前に尊敬の念を払うよ!酒も奢ってやる!」
すでに、ロードレース用の自転車に凝り始めていたS氏に、
軽くいなされてしまった。その夜、二人で伊那の街を飲み歩き、
彼のアパートに舞い戻ったのは夜中の1時を回っていた。

翌朝、5時半起床。
隣でぐっすり寝込んでいるS氏に気付かれぬよう、
そ~っと部屋を出る。
酔いの残っている身体にムチを打ち、いざ出発!
一旦、辰野まで引き返し、朝靄の有賀峠を越えると、
霧の晴れた眼下には諏訪の‘海’。国道20号線に合流。
標識には『東京198km』。あまりの天文学的数字に唖然とする。

中間点の甲府には11時半着。-よし!行けるぞ!-
15分ほど休息を兼ねて昼食。それ以外はひたすらこぎ続ける。
大月までの坂道、向かい風に不平を吐きながら、
-ナンダ坂、コンナ坂-を唱え、何度となく自転車から降り、
押して歩く。そんなとき、辺り一面に広がるブドウ畑から
見知らぬおばちゃんの声。
「ホレ!取れたてのブドウ持っていきな!」
うれしかったね!勇気百倍-ファイト~ イッパ~ツ!-

狭くて真っ暗で、その上排気ガスで充満している
笹子トンネル内を、ひっきりなしに行き交うトラック便に
肝を冷やし、「ワーワー」叫びながら抜ける。

最後の登りは小仏峠。
沈みゆく秋の優しい陽射しが背中を押してくれた。
峠から見える、夜の帳(とばり)に包まれ始めた八王子。
灯りが点(とも)りだした静寂な街全体が耳をそば立てているようだ。
その街目掛けて雄叫びをあげた。
「やった~!やったぞ~!オレはやったぞ~!」
一気にスピードをつけ、転がるように下って行った。

by don-viajero | 2009-09-12 19:50 | ◆旅/全般◆ | Comments(2)
Commented by riojiji at 2009-09-13 19:40 x
違う力もあった事を・・・私は知ってます(笑)

それにしても凄い話だよね~~~。
「若い」と言うことは それだけで なんでも可能にしてくれます・・・
Commented by DON VIAJERO at 2009-09-14 06:30 x
「若い」ってすごいですね!

「愛」ってすごいですね!


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