2009年 12月 24日

2009年「この3冊」

毎日新聞の書評執筆人たちが選んだ
【今年の「この3冊」】が、13日・20日と載っていた。
複数の評者が挙げたのが、ご多分に漏れず
『1Q84』だった。

ある日、食卓テーブルの上にこの本が置いてあった。
カミさんの友人が、読み終えて送ってくれたものだ。
一頁開いただけで閉じてしまった。どうにも食指でなく、
目指(もくし)が動かなかった。多くを耳目してしまい、
いささか、食傷気味だったかもしれない。

そこで、私の今年の「この3冊」を挙げてみよう。
田中慎弥著『切れた鎖』。
工業高校を卒業後も、アルバイトを含め、一切の
仕事についた事のない筆者は、二十歳から髄筆活動に
入ったという異色者である。表題作『切れた鎖』を含め、
三つの短編集。小説を読み耽るだけでなく、体験こそが
多少なりとも人生の機微を感じ取る手段だと思っている。
頭でっかちにならなければよいのだが‥‥。

丸山健二著『落雷の旅路』。
若いころ好んで読んだ作家だ。数年前、久しぶりに
手にした「高倉健」をモチーフにして、書き下ろした
『鉛のバラ』以来だ。(もちろん、健さんの承諾は得ている)
十数年ぶりの短編集でもある。氏の大好きな庭弄り同様、
文章を捏ね繰り回し過ぎるきらいはあるが、収められた
十篇の物語は、どっしりと重みのあるものだ。

三冊目は、最近、すっかりお気に入りの伊坂幸太郎の
『重力ピエロ』。主人公は種違いの兄弟。兄の名は
「泉水(いずみ)」弟は「春」。これは英語の「Spring」に
由来する。「Spring」には、多くの者が周知の春以外に、
泉という意味がある。ちなみに、「温泉」は「Hot Spring」。
この二人を中心とした、兄弟愛、家族愛、そればかりでなく、
伊坂作品はグイグイと読者を引きずり込み、滅茶苦茶
面白い小説に仕立ててゆく。おそらく、小説が上手い
のではなく、巧いのであろう。

不景気の煽りで年々読書量が増してきた。「晴読雨読」
状態といっても過言ではないこのごろである。

2010年は「国民読書年」。「生涯の一冊」に
出会えますように!

by don-viajero | 2009-12-24 19:24 | | Comments(2)
Commented by riojiji at 2009-12-30 13:46 x
今年の三冊ですかあ・・
田中慎弥は読んだことありません。経歴はほんま異色ですね。
後でamazonで検索してみまわ。
丸山健二は 余り好きではありません(笑)
伊坂幸太郎、確かに巧い!彼は『1Q84』の作者に憧れて小説家になったんだって。
さて ワテの今年の三冊!
藤沢周平の「漆の実の実る国」・・貧窮のどん底にあえぐ米沢藩を心血を注いで立て直した上杉鷹山の物語。いまの政治家に一番読ませたい(笑)

次は湊かなえの「告白」・・・「愛娘の愛美は、このクラスの生徒に殺されたのだ」この告白か始まり その事件の関わった人々の告白に話は展開・・なかなか考えさえる一冊ざんす。彼女は この「告白」がデヴュー作だそうです。

して三冊目はdon-viajero さんも、ワテも ボロボロと泣いた
「その日の前に」
おっさん顔の重松清さんです(笑)
もう一回読んでも ボロボロと涙が落ちるんやろうなあ・・

あ~~おれも「晴読雨読」の生活がしたい・・・
Commented by DON VIAJERO at 2009-12-31 06:33 x
「その日の前に」。昨年の一冊に数えられますね!

あるアンケートで、すでに「泣かせる本」の仲間入りです。

吃音者として育った境遇が、あんなすばらしい言葉を飄々と

紡ぐことができるんでしょうね!

あっ!一力さんの喜八郎の活躍も面白かった。

本人が出過ぎのTV映像になってもいいくらいだ。


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