陽気なイエスタデイ

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2010年 01月 05日

超短編小説 『インフルエンザ』

結婚式も同じころ。また細君同士も幼馴染。
そんな竹馬の友である彼らも、結婚生活を十年も超え、
久しぶりに男同士で飲んだ。
二人して『居酒屋古民(こみん)』の暖簾をくぐった。
なるほど、カウンター席だけの小振りな店ながらも、
古民家で使われていた材を、そのカウターばかりでなく、
ふんだんに用いた、なかなか趣きのある店だ。

「おい!おまえんち、どないなんや?」
「なんのこっちゃ???」
「二人の仲や!」
「おれんちなんか、今でも熱々やでぇ!
 ほんま、ず~っとインフルエンザに
 かかってるみたいなもんやな!」
「???、どない意味なんや?」
「愛の熱でうなされっぱなしや!
 ところで、おまえんちのほうこそ、どないなっとるんや?
 ほんま、あんましえぇ噂、聞かへんでぇ!」
「おれんちか‥‥。
 まぁ、治りかけのインフルエンザみたいなもんやな!」
「?????」
「熱は下がりよったが、セキだけはまだあるんや!」

そこへ、黙って彼らの会話を楽しんでいた店主が割って入った。
「お客さんたち、おもろい話、してまんなぁ!」
 あんまし、うまくいってへんお客さん、後ろ見て読んでみなはれ!」
「ん???」

二人が振り向くと、そこには玄関戸に吊るされて、
ガラス越しに逆さ文字が映った暖簾が見えた。
「民(みん)‥古(こ)‥屋(や)‥酒(さけ)‥居(い)‥‥。
 いや‥、まてよ!あっ!判ったわい!
 タミ・フル・ヤ・サカ・イ‥や!そやろ!」
「そや!ワテの店の酒はタミフルや!インフルエンザ
 なんちゅうもんは、治ってしまうんや!!!」

by don-viajero | 2010-01-05 20:02 | 超短編小説 | Comments(0)


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