陽気なイエスタデイ

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2010年 02月 11日

ポルトガル・Ⅹ 『Fado』

セトゥーバルを訪れた夜、そしてリスボア最後の夜。
それぞれ違う「Casa do Fado」(ファドハウス)へ行った。
やはり、この歳になって初めて生で聴いたファドは印象に
残る。その店のパンフレットの冒頭、英語表記では、
こう書かれていた。
-It isn't Folk, it isn't Blues, it isn't Soul‥‥-

夜の帳が下り、あちらこちらライトアップされ、賑わいを
増すリスボアの中心街から、少し離れた薄暗い路地にある、
その店に入ったのは8時をとうに過ぎていた。
店内の奥には、ギターラという複弦ポルトガルギターと
クラシックギターを物静かに調律する二人の男がいた。
ウェイターに招かれるまま、彼らを間近に観賞出来る席に
坐らされる。少しばかり奢ったメニューを注文。もちろん、
白のメイア・ガラファーも。しばらくして、店内の照明が
落とされ、メルセデス・ソーサばりに太ったおばちゃんが
入ってくる。その歌声は彼女を彷彿させる。一曲目は
アマリアの“tudo isto e fado”(これがファド)。
どこか物悲しく、また、ときには明るいファド独特の旋律は、
複弦のギターによる伴奏が大きく作用しているようだ。続いて
二人の男性歌手がそれぞれ登場。そして再びあの女性が歌う。
歌い手の彼女が揺れているのか、酔い始めた私が揺れているのか、
ファドは静かに胸の底に沈んでいった。第一ステージが終わる
ころには、ボトルは空っぽ。二本目のメイア・ガラファーは
赤を注文。第二ステージもやはり、アマリアの
-そこには 歌と 酒と 夢があった‥-で始まる
“Mariqinhasu/マリキーニャス”(愛しいマリアの追憶)。つま先を
軽くフロアーに叩き、ついつい手拍子が出る、軽快な曲だ。
彼女が歌い終えるやいなや、声をあげる。「ブラボー!」。
私に続いて他の客たちも拍手とともに「ブラボー!」の連呼。
すでに10時を回っていた。リスボアの夜は始まったばかりだ。
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千鳥足で帰り道を急ぐ。
大都会特有のキンとした冷え込んだ空気に身を縮め、擦れ違う
女性たちの、ほのかに香る甘い香水が気持ちよく鼻をくすぐり、
地下鉄へと続く地下道に吸い込まれていった。

もう一軒は、ホテルの近くにある、高級なファドハウス。
翌朝、早い時間にチェックアウトしなければならなかったからだ。
リスボア最後の夜ぐらいは、ちょっと贅沢しようと思い、
食事もメイア・ガラファーのワインも、いままでで一番
値の張るものを注文。歌い手もそれに見合う?若くてすばらしい
歌声を披露させてくれた。
彼女のほうは、若かりしころのグラシェラ・スサーナといった
ところだろうか?
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早朝5時。前夜の余韻を耳の奥に残して、日本への途に就いた。

by don-viajero | 2010-02-11 10:35 | Portugal | Comments(0)


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