陽気なイエスタデイ

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2010年 03月 21日

シャングリ・ラ

セスナ機を操縦しているのは、最近、ちょくちょく
話をするようになった古くからの知人だ。
機は、なだらかな尾根上をスレスレに旋回しながら、
私は後部座席の窓を開け、下を覗き、彼の説明を
逐一聞いている。

疎らな人家が途切れ、そこだけ不思議とポッカリ
霧が開いている広い盆地状にある、一本の滑走路に
降り立った。
まったく、人の気配がない山肌に備えられた二基の
エレベーター。セスナ機から降りた私たちは、
その前に立ち止まる。訳の解らぬまま、彼に訊ねた。
「これからどうするの?」
「私は、ある村の寺に行って出家するつもりだ。
 だから、ここで君とは別れる。
 私は右。君は左へ乗りなさい。」
「左はどこへ行くの?」
「それは、着いてからのお・た・の・し・み!
 それじゃぁ、元気でな!」
「???‥さようなら‥‥。」

そのエレベーターは落下する水力で上昇していった。
扉が開くと、目の前のカウンターには受付嬢がいた。
「ようこそ!‥いらっしゃいませ!」
「ここは‥‥、どこ?」
「理想郷『シャングリ・ラ』ですよ!」
下界とは隔絶されたテーブルマウンテン上には、
小洒落た低層店舗や家々が立ち並び、擦れ違う人々は
皆ニコニコしている。白人や黒人、黄色人種まで‥‥。
世界中から集まったような‥‥。

私はポケットから携帯電話を取り出した。「圏外」表示だった。
再び、受付に戻り電話をしたい旨を伝えた。
「ここでは、どこへも連絡の手段がありません!」
「じゃぁ、エレベーターに乗って降りるよ!」
「いえ、それは不可能です!」
「何故?」
「あれは‥。昇り専用となっております!
 しばらく、ここで暮らせばすべてを忘れ、
 来たことを感謝することでしょう!」

*世界遺産・ギアナ高地(3/7放送)を観た夜の夢だった。
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by don-viajero | 2010-03-21 16:38 | | Comments(0)


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