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陽気なイエスタデイ

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2010年 09月 14日

秋の気配

夕べから、今朝方まで降った雨のせいで、地面も木々も
しとどに濡れていた。
10時ごろ、その雨も上がり、空を見上げると遠慮がちに、
最後の雨粒がそっと顔に落ちてきた。

頭上の梢に透ける空は次第に磨かれたように碧く輝き、
ポツン、ポツンといろいろな形の雲が遊んで、木漏れ日が
くっきりと疎らに彩っていた。

太陽が、この夏最後の照りを鼓舞するように肌を射し、
ほんの束の間のことではあったが、突然林の中から
「ミ~ン ミ~ン」と静寂を突き破り、大きな音を絞り出すように、
一匹のセミの鳴き声が聴こえ、数十秒でピタっと
止んでしまった。

9月13日、この日、たった一日で周りの空気が入れ替わった。
夜には生暖かいものが失せ、風呂上がりの火照った体を
ひんやりと優しく癒し、深呼吸すれば、肺の奥深くまでも
冷やしてくれそうなかけらが辺りに充満し、確かな秋の気配に
包まれていた。

演歌によくある、女が男にふられる歌ではなく、飽きた恋人を
ふる男の歌、オフコース『秋の気配』。

若いころの恋愛はふられたこともあるし、ふってしまったことも
しばしば‥‥。

ようやく、夏から秋へと主役の座が入れ替わったのだ。
寒い冬が終わり、暖かな春を迎え、次に訪れる夏に恋焦がれ、
あまりにも暑過ぎて、冷却してくれる秋を待ちわびる。
決して夏に飽きたのではないのだが‥‥。

心の変節も、四季の移ろいも、すべてがその気配から
新しいものに変わるということなのかもしれない‥‥。

今朝、外にある温度計の目盛りが一気に20℃を割り、
15℃を指していた。
      
秋の気配_f0140209_2044230.jpg

      左からコナラ、朴、赤松、山栗に囲まれた空

by don-viajero | 2010-09-14 20:19 | エッセー | Comments(0)


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