陽気なイエスタデイ

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2010年 10月 16日

カトマンドゥ

朝靄のなか、通りの角の店で焼くハッシケーキの
甘い匂いと、乾燥させた牛糞を燃料に朝食を準備する
家々から立ち上る煙の匂いが、微妙に溶け合い
鼻をくすぐる。ヒンドゥの神々に花や香を手向ける人々の
なかを、牛だけがのんびりと優雅に歩いている。
幕が開けるように、白いモノトーンの世界が次第に
明るさを増し、はるか遠くに万年雪を被ったヒマラヤの
峰々の威容が浮かび上がってくる。

私は香港の女子高の教師。
数名の生徒を引き連れネパール・カトマンドゥに来ている。
もちろん、彼女たちとの会話は中国語だ。
彼女たちを連れて市場へと出かけた。

裸電球のぶら下がる薄暗く狭い路地を様々な店が軒を
連ねている。ある雑貨屋の前で、彼女たちの足が止まった。
どうやら可愛らしいグッズがあったらしい。中国語特有の
賑やかな大声が響き渡る。とりわけ生徒の一人、
アグネス・チャンはやかましい。
私は急にビールが飲みたくなり、店主に、
「Do you have a beer ?」と訊ねた。
「No !」
「Where can I buy ?」
「That shop !」
と古めかしいピッケルのぶら下った店を指差した。
私は彼女たちを残し、その店に足を向けた。

一坪ほどの空間にぎっしりと中古の登山用品を並べた店。
その奥の暗がりに初老の男が坐っている。
「Aちゃん!」
すっかり少なくなった毛髪に白いものが目立つ男は、
紛れもなく、幼馴染のAちゃんだった。
「やぁ‥‥、フンボじゃないか‥‥。」
弱々しく言い返してきた。
そのとき、突然誰かが騒いだ。
「Police ! Police ! Run away !!!」
顔を回転させ、その声を追った。
振り返ると、そこにAちゃんの姿はなかった‥‥。

by don-viajero | 2010-10-16 20:18 | | Comments(2)
Commented by riojiji at 2010-10-24 16:04 x
あの話 必ず実現させましょうね(笑)!!!
Commented by DON VIAJERO at 2010-10-24 16:40 x
「夢」はハプニング!現実にもハプニング!!!
楽しみやなぁ!それまで元気に仕事がんばりましょう!!!


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