陽気なイエスタデイ

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2011年 01月 15日

明日の記憶

-「誰だっけ。あの人」
  最近、こんなせりふが多くなった。
 「俳優だよ。あれに出てた。外国の俳優だ」
  代名詞ばかりで固有名詞が出てこない-

荻原浩『明日の記憶』の冒頭だ。主人公・佐伯雅行は
炭酸ガスのように頭のなかから抜け出してしまった
人名を必死に思い出そうとしている。

昨年暮れの東屋での忘年会。
「おい、おい、あれ、あれだよ‥‥!」
「また始まったよ!Mさんのあれ」
そう指摘する二歳年下のHちゃんも、最近よく口に
するようになってきた「あれ」。
私は50歳を過ぎたあたりから「あれ」が飛び出す。

街で偶然出逢った人にも、顔は知っているんだが、
名前がなかなか思い出せない。拙い記憶を総動員する。
適当に話しの辻褄を合わせ、会話のなかからヒントが
見つかって判ることもあれば、喉まで出掛かっている
その固有名詞を、別れてから「あいうえお」順に「あ」から
始めてみる。時間はかかるが何とか名前に辿りつく。

一般的にアルツハイマーには、初老期発症型と
晩発症型があり、その区切りは65歳未満か以上と
されている。その初老期発症型が「若年性」と
呼ばれているものだ。

単なる物忘れならいいのだが「若年性アルツハイマー」
にでもなったら、周りを巻き込み大変なことになる。
しかも、過ぎ去ったことを忘れるばかりではなく、
目の前に訪れてくる『明日の記憶』がなくなる恐怖。

明後日、新たな『明日の記憶』を求めて旅に出る。

by don-viajero | 2011-01-15 16:14 | エッセー | Comments(0)


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