陽気なイエスタデイ

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2011年 09月 29日

内田先生

夢のなかで先生の授業を受けていた。
残っている頭髪を振り乱し、ツバを飛ばしながら、
熱心に授業を進めている。

『理科』という科目が好きだったし、当然よく
理解できた。だから、理解させてくれるような
教え方の先生が好きだった。

薄汚れてヨロヨロの白衣をだらしなく着込み、
赤ら顔をニコニコさせ、大机の上にビーカーや
フラスコ、試験管、アルコールランプの並んだ
各グループの実験を覗いて見て廻っている。
夢のなかではぶたれずに終わった‥‥。

教師にゲンコツの中指で脳天グリグリをされたことは
幾度となくあっても、ピンタを張られたのは初めての
経験だった。目が覚めたとき、あのときの痛みを
久しぶりに思い出した。

理科教室の空気が、瞬間冷凍されたように静まり
返った。そのとき、背後に立つ人の気配を感じた。
振り向くと目の前に、唇をワナワナ震わせた先生が
立っていた。無言のまま平手が飛んできた。
しかも、パシン!パシン!往復で‥‥。
冷凍された空気にバシっと亀裂が入り、砕け散った。
僕はしばらく呆然と立ちすくんでいた。先生は
黙したまま教壇に戻り、何事もなかったかのように
授業を再開した。

頬をぶたれた痛みは、記憶の底から掬い上げられ
ジンジンと胸の奥から沸き上がってきた‥‥。

by don-viajero | 2011-09-29 20:08 | | Comments(0)


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