陽気なイエスタデイ

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2012年 04月 17日

刻む

4月に入ったというのに、霜が降りて寒かった朝。

手ぬぐいでほっかむりし、片手には杖をつき、腰は幾分
曲がってはいたが、矍鑠(かくしゃく)と散歩をしている
老人をみかけた。

背格好が以前に比べこじんまりしてしまってはいるものの、
私の知っている先輩のお父さんだ。近寄ってゆき、
「こんにちは!」
すっかり遠くなってしまった耳で、音を拾うように手ぬぐいの
下に隠れた部分に手を当て
「どちらさんでしたっけ‥‥?」
「〇〇さんでしょう!!」
大きな声をかけた。
「そうですが‥‥。あなたは???」
「△△ですよ!」
「あぁ、思い出しましたよ!
 散歩の途中で声を掛けられるって‥‥、
 うれしいことですねぇ!」
長く生き抜いてきた証である刻みが、笑顔のなかで弾けていた。
「気をつけて散歩をしてくださいよ!」
「ありがとう!」

-人に歴史あり-
ゆっくり遠ざかってゆく後ろ姿の背にも、歴史が刻まれて
いるように見えた‥‥。

by don-viajero | 2012-04-17 19:22 | エッセー | Comments(2)
Commented by アンニョン! at 2012-04-19 08:16 x
手ぬぐいのほっかむり&杖・・・「矍鑠と」???
もしかしたら・・・
ありがとうございます。
老人への暖かい声掛け、見習いたいです。
Commented by DON VIAJERO at 2012-04-19 18:21 x
老いに必要なことは歩くこと。そして
会話をすることじゃないかな?
本当、私のような者の声掛けにも喜んでいましたよ!
こちらも、気分よくなりました!


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