陽気なイエスタデイ

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2012年 06月 05日

超短編小説 『勘違い』

四月に入ると朝の通勤電車は、初々しさの残る
リクルートルックに身を固めた新入社員たちが、
次から次へと乗り込んでくる。

私が降りる二駅前に乗車してくる女性もそのうちの
一人だ。どんなに混んでいようと、人混みをかきわけ
私の前の吊り革に手をかける。
そして、大きな黒目がちの目を楽しそうに躍らせながら、
私に向かって微笑む。彼女の居所のよい笑顔は、いつしか
私の朝の気分をほっこりさせてくれるものとなり、
「おはよう」「おはようございます」の挨拶を交わす
ようにまでなっていた。

-彼女、俺に気があるのかな!?
  元気で利発そうな感じで俺好みかも‥‥
  GWのデートでも申し込もうかな???-
毎朝繰り広げられる、たった二駅の逢瀬を勝手に
そう思い込んで楽しんでいた。

GWに突入する二日前の朝、その日に限って彼女が
乗り込む前に、中年の脂ぎった大男が私の前の
吊り革をつかんでいた。その男の横まできた彼女は、
そわそわした態度で私との挨拶を終えた。

ところが、私が席をすっくと立ったとたん、彼女の
大男を押しのけての電光石火の着席に、私の淡い恋心も
いっぺんにどこかへすっ飛んで行ってしまった‥‥。

-あぁ‥彼女の微笑返しはそういうことだったのか!-

by don-viajero | 2012-06-05 19:38 | 超短編小説 | Comments(4)
Commented by パーチ at 2012-06-05 22:35 x
こういう勘違いってあるよな~。
男の悲しい性なんだろな。
還暦過ぎてジジイになってももあるんだろうな~。
Commented by DON VIAJERO at 2012-06-06 06:20 x
若いころは結構あったが、
今はまったくないよ!
あのころのような自信がないもんな!
Commented by パーチ at 2012-06-06 10:13 x
オレの知り合いの還暦過ぎた水道屋のオヤジが修理に行った先で30過ぎのオネーチャンと知り合って、にデートに誘われて、避妊具まで用意していそいそと出かけていったんだが、結局、宗教の勧誘だったなんてことが最近あった。(*>_<*)/
Commented by D at 2012-06-06 23:47 x
宗教とかマルチは単純な男・・・ばかりでなく弱みの
ある人間はすぐにフラフラ・・・・。

きっとオーム信者もそうだったんだろうと思うと怖いね!


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