2012年 07月 22日
夏の背の高くなって乾いた草のなかを走っていた‥‥。 太陽に照らされ、遠くにキラキラ光る物体をめがけ もがく様に必死になって向かって行った‥‥。 兎に角、その場所から一刻も早く離れたかった‥‥。 近づくにつれ一つだと思っていた輝く物体は、二つ、三つ、 四つ、五つ‥‥次第に増えていた‥‥。 私は、数十年前の記憶に残っている、街の外れにある 明るい森の草原にいた。そこには明らかに私と判る少年と、 その大勢の友だちが楽しそうに遊んでいた。 でも彼らのほかにそこにいたのは、数十年後の私ばかり でなく、集っていた少年たちの数十年後の友たちも、 幼い少年たちを遠巻きに取り囲むようにして、黙って 見つめていた。 映像だけが動くのに、音のない世界に慄くようにして、 その場所を離れた。 タイムマシンは自分だけの特殊なものでなく、誰でも簡単に 過去へと運んでくれる乗り物になっていた‥‥。
by don-viajero
| 2012-07-22 18:09
| 超短編小説
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