陽気なイエスタデイ

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2013年 03月 17日

超短編小説 『投身』

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「光と影」

何事にも小心で、仕事においても、恋にしてもすべて、
いつでも悪い方へ悪い方へと導かれるように、思考が
穿ち過ぎてゆく。結果‥‥築かれたのは失敗の山ばかり。
それが‥‥、それが僕のいままでの人生だった。
そんな人生から‘おさらば’しよう‥‥。

高所恐怖症でバクバクと高鳴る心臓を、なんとか押さえ
込んではみたものの、もはや寒さによるものなのか、
怖さなのか訳の分からないまま、小刻みにガクガクする
膝の震えを止めることはできない。

僕は今、地上50mの地点に立っている。遥か下のほうから
‘ヒュー ヒュルヒュル’と聞こえてくるもがり笛が誘惑するように、
いっそうの恐怖をそそる。当然目を瞑っていて周りなんか
わからないから、耳だけがすべての事象に鋭敏に反応する。
「そう、すべてを終わらせよう!僕は生まれ変わろう!」
飛び立つ瞬間、細い目を思いっきり見開いた。

「行くぞぉ~!バンジージャ~ンプ!!!」



by don-viajero | 2013-03-17 07:32 | 超短編小説 | Comments(0)


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