陽気なイエスタデイ

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2014年 07月 06日

『同級会』

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毎年、同じメンバーしか集まらない小学校の同級会
酒宴も中だるみにさしかかった頃、右隣りの席で浮かぬ顔を
していた幹事のS君が、ボソボソと独り言を呟いていた。
「おかしいなぁ‥?もう一人来るはずなんだがなぁ‥‥」

そのとき、小座敷の襖がそぉ~っと開いて、コロコロと肥った
女性が、弾けるような満面の笑みを湛えて立っていた。
「み・ん・なぁ~!遅くなってゴ・メ・ン‥ねぇ~!」
丸い顔に丸い身体。声までが丸く聞こえた。

期せずして、口々から飛び出した。
「だぁ~れ?」「だれだよぉ~?」「???」
「まぁ、上がれよ!みんなを驚かそうと黙っていたんだが、
 中学校に上がる直前に転校して行ったマルコちゃんだよ!
 私・幹事がご用意した、今宵の隠し球・超サプライズだぜ!」
「面影なんか、なんにもないじゃん!」
「そうよ!街で逢ったってわかんないわねぇ‥‥。
 旧姓細井。昔とってもおとなしかったオ・ト・メ。
 お嫁に行って丸井マルコ。キャハハハ!今じゃ幸せ太り。
 陽気でフ・ト・メのマルちゃんでぇ~す!アハハハ!」
天まで届きそうな彼女の笑い声が、小さな部屋いっぱいに
響き渡った。

あの頃、教室の隅っこでいつも一人淋しそうにしていた彼女。
長い星霜の流れのなかで、一体何が彼女をこれほどまでに
屈託のない、明るいキャラクターの持ち主に変えさせたの
だろうか‥‥?

-人生 山あり 谷あり 歴史あり-だな‥‥!

by don-viajero | 2014-07-06 19:21 | 超短編小説 | Comments(0)


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