陽気なイエスタデイ

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2007年 07月 11日

サハラ

日の出(いずる)国、日本から来た一人のオッちゃんが、
日の沈む地、マグレブ*1)の人々との想い出を数々残した旅であったが、
ハイライトは何と言ってもサハラ砂漠であろう。
エルフードの町からサハラの入り口、メルズーガ村まで
四輪駆動・ランドローバーでの砂漠ツアーが出ている。
一台貸切だ。客が集まれば等分すればいい。

エルフードの安宿(当日の宿泊者は私一人だけ)のオーナーが紹介してくれた、
自称ガイドだという彼の兄にツアーの話を持ちかけた。
その日、彼と一緒に他のホテルを回ったのだが、オフシーズンということもあって、
一人の相方も見つけることが出来なかった。
言い値400DH*2)を350DHにさせて交渉成立。
(他を当たっても400DHが相場だった)
この日記はそのサハラでの感動の記録である。

2月15日(快晴)
 4時起床。ホテルのロビーでガイドを待つ。
 しかし、横付けされた車は約束のランドローバーではなく、ボロボロベンツ。
 しかも運転手付き。
 「こいつは、このベンツとランドローバー、もう一台
 他の車を所有しているが、調子が悪いのでこれで来たんだ」
 と嘯きやがった!はなからこういうつもりだったんだろう。
 「話が違う!昨日の約束ではお前がガイド兼運ちゃん。
 しかも、車はランドローバー。私は一人分しか払わないし、
 何だ!このボロベンツは!」
 続けざま
 「当然、まけてくれるよな!50DH値下げだ!」
 私の剣幕に圧倒された彼は渋々承知した。
 要するに、彼は英語を話せるが、車を所有していない。
 そこで英語のできない白タクを雇ったということだろう。
 空には満点の星。ガタガタ道。ボロボロベンツはボッコンボッコン。
 まだ暗い夜道をスピードを上げて走る。
 前には大の大人が二人。彼らの会話を解することはできない。
 ザックからアーミーナイフを取り出し、そっと懐に忍ばせる。
 こんなところで殺されたら、それこそ完全犯罪だ。
 -日本人の一人や二人、砂漠に埋められてもどうってことないさ-
 そんな心配を他所に二人は陽気なベルベルミュージックを
 カセットからガンガン流し、
 「この音楽は気に入ったか?」
 と聞いてくる始末。
 5:45メルズーガ村に着く。
 「俺たちはここで寝て待ってるから、あの薄暗く盛り上がってる山まで行け」
 マグライトの灯りを頼りに山を目指す。
 オアシスを抜け、暫くすると足をとられるような砂地が現れる。
 足早に山を駆け上がる。ついに来たぞ!サハラへ!気が焦る。
 四つん這いになりながら30分ほどして頂上に立つ。
 渺々(びょうびょう)と続く赤い砂の山。まだ日の出までは時間がありそうだ。
 サハラの砂と戯れる。ゴロゴロ転げ回ったり、砂を空中に
 放り投げたり‥‥裸足になって駈けずり回る。
 7:01 Sunrise! この砂漠の中でたった一人。Standing Alone.
 大声を張り上げる。来て良かった!
 「カミさ~ん!子供たち~!ありがとう!!!」
 静寂の砂漠に向かって、否、すばらしい地球に向かって叫ぶ。
 砂はまるでバージンスノー。朝日を浴びてキラキラ、サラサラだ。
 廻りはゴミ一つ見当たらない。
 風がすべてを持ち去ってしまい、残ったのは赤い砂の風紋だけ。
 少しばかりの生き延びている草。そしてメルズーガの村から
 続いている一本のトレース。よく見ると足元には身体を丸めた、
 親指の頭ぐらいのフンコロガシ。
 ‥‥略‥‥

 レストランで待っていた彼らを起こし、村を出る。
 「お前はラッキーだ!」
 ―そうだとも。誰もいなかったのだからな!―
 ハイシーズンには観光客で行列になるということだった。

*1)マグレブ‥アラビア語で日の沈む地。モロッコ、アルジェリア、
       チェニジアを含むアラブ諸国のアフリカ西辺地域
*2)DH‥当時1DH=15円
 
 

by don-viajero | 2007-07-11 20:56 | Maroc | Comments(2)
Commented by 蚊取奴 at 2007-07-12 23:13 x
お土産で頂いたサハラの砂を、今改めて手に取りました。
あの時には気づかなかった風や音楽を感じることが出来ます。
捨てなくて良かった~、赤い砂・・・

ところで、Standing Alone の写真の撮影者はどなた?
Commented by DON VIAJERO at 2007-07-13 06:37 x
貴重な貴重な砂です。
私の骨箱にも入れてもらうつもりです。
撮影は長さ15cmほどの折りたたみスタンドを持参しました。


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