陽気なイエスタデイ

donviajero.exblog.jp
ブログトップ
2007年 08月 03日

ルーツ

市(旧町)の霊園に墓所がある。
眠っているのは今のところ祖父一人だけだ。
残念ながら、私は熱心な参拝者ではない。
命日にも、彼岸にも、ここしばらく訪ねたことがない。
もっとも、私が生まれる前に他界した祖父そのものを知らない。

学生のころ、本の影響もあってか『ルーツ探し』が流行った。
御多分に洩れず私もチャレンジした。

母方は地元出身だったので容易に明治まで遡ることが出来た。
父は東京生まれだ。
その時代は簡単に戸籍謄本の閲覧が可能だったので、
近々は調べられた。あまりよく知らない祖母に関しても‥‥。
祖父の出身の富山は剣岳を登った帰り、在住の父の従弟である
叔父の家に世話になり、やはり役所で明治までの謄本を
得る事ができた。

この過程で私は何も聞かされたことのない、とんでもない事実を知った。
父だけは薄々知っていたらしい、異父兄弟の存在を確認したのだった。
祖母と再婚の連れ合い、そして二人の間にできた一人の子は、
東京大空襲で死亡。しかし、長男が存命。

私にとっては、叔父である人物の住所まで調べ上げ、父に報告した。
「逢ってみたい」
「それじゃぁ、行くだけいってみるよ」
この叔父に逢って驚いた。
勿論、一応は同じ母親のDNAを受け継いでいるのだから、
容姿は似ていて不思議ではない。
しかし、喋り方、物腰までもが父の姉である叔母にそっくりだったのだ。
仏壇には私の見知らぬ人と、初めて見る叔母似の祖母の写真が
飾られていた。
それ以降、俗に言う種違いの兄弟ではあるが、二人が兄弟として
付き合ったのは言うまでもない。

順番からすれば、父、母の次に私が入るのだろう。
ぼちぼち逝きそうになった時には、
一人静かに墓前で人生のくさぐさを伝える。
本心を呟く。誰にも聞かせたくないことを話す。
私にも一つや二つ、泉下まで持っていくであろう隠し事はある。
ご先祖様に報告するつもりである。

今年のお盆には墓参りをしよう。

by don-viajero | 2007-08-03 20:23 | エッセー | Comments(0)


<< 山/Ⅰ      方言 >>