陽気なイエスタデイ

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2007年 09月 14日

北の大地/Ⅲ

外は相変わらずの荒れ模様。もう一日叔父の家に厄介になる。
昨日の疲れもあり、我がままを云って遅くまで寝させてもらった。
ストーブのガンガン焚かれている部屋で、飼い猫の「五右衛門」
「バンド」2匹とじゃれ合う。

3時頃、吹雪も止み、重く垂れこめた雲間から僅かな光が差し始める。
やおら下駄を履き流氷の詰まった港まで歩いて行く。帰り際、
お茶を濁すほどのことではあったが、一つの目標を達成した。

翌朝、叔父叔母に見送られ、南稚内駅7:30発、旭川行の列車に
乗り込む。座席の前には、北国の厳しさに刻み込まれた深い皺をよせ、
まるで春を待ちわびる子供のように如才ない笑顔で語りかけてくる
おばあちゃん。旭川までずっと他愛のない話に興じた。別れ際、
やはり皺くちゃな手の平からみかんを二つ差し出された。

爽快な気分同様、カランカランと下駄の音を響かせながら、
12:24発釧路行に乗り換え、網走には夕刻4:50に到着した。

この地に住む叔父に数回電話をしたのだが留守であった。
仕方なく駅前のビジネスホテルに投宿。
近くにあった赤提灯の縄暖簾を潜り、壁に吊るされた品書きの
「チノム」*1)の冷を注文する。時間が早いせいか客は私一人。
薄汚れた割烹着を着込んだおばちゃんからは滔々とアイヌ談義を
聞かされる。

翌日はいささか肌を刺す冷たい風が吹いていたが、北の大地で
初めての快晴。午前中は流氷観光バスでサロマ湖へ。僅か10人
という少人数の観光巡りであった。

再び午後の列車で釧路へと向かう。車窓からは流氷ですっかり
蚕食されたオホーツクを左手に、反対側には周りを凌駕する
斜里岳が目前に高く聳え立っている。

釧路乗り換えで夕刻根室に着き、タクシーでS氏宅を訪ねる。
スキーに出かけた彼を待つこと30分。私の前に現れたS氏は
インドでより少しばかりふっくらしたように見えた。
二人で銭湯に行き、夜の街へ繰り出した。

アグラで同宿した日本人女性グループが馳走してくれ、二人で飲んだ
「日本の優しい酒」の味が二軒目の店で蘇った。S氏はすでにろれつも
回らぬほど酔いつぶれてしまい、想い出を語り合うには
余りにも短い時間が過ぎ去っていった‥‥。

*1)チノム‥アイヌ語で酒。他に「トノト」ともいう。

by don-viajero | 2007-09-14 18:43 | ◆旅/全般◆ | Comments(0)


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