陽気なイエスタデイ

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2007年 10月 05日

針ノ木岳

日本三大雪渓の一つであるこの谷の入り口に大沢小屋がある。
「山を想えば人恋し 人を想えば山恋し」と刻まれた百瀬慎太郎氏の
レリーフが小屋の脇にはめ込まれている。

1974年4月、この小屋の上部から派生するビョウブ尾根を
単独登攀した。積雪期だけのルートだ。
天候はこのうえなく快適で、有り余る残雪を照らす春の陽光は
強烈である。時間とともに気温も上昇し、小さな雪崩が「ゴォー」
という不気味な音を残していたる所で発生している。

登り始めは膝まで潜る腐れ雪ではあったが、高度を稼ぐにつれ
しっかりした雪稜に食い込むアイゼンの歯が小気味よく刻んでゆく。
午後3時頃には、スバリ岳と赤沢岳の鞍部・白沢のコルより右手の
赤沢岳寄りの稜線に出る。
しばらく、立山に沈み行く夕日を眺め、気温が下がるのを待つ。
スバリ岳と針ノ木岳の鞍部・マヤクボのコルから豪快なシリセードで
マヤクボ沢を一人、絶叫マシーン如く興奮の大声を上げて滑り下りた。

私がこの針ノ木を訪れたのは、高校2年6月のとき。
地区の高校山岳部を対象にした登山講習会が催された。
我が校では顧問一人、同期のY氏の三人で参加。

ところが、雪渓途中にあるテン場に全員が到着し終えたとき、
どこかの部員が急病になったらしく、辺りは騒然とした。
その時である。引率に指示を受けている、地元のO高校主将N氏の
毅然として落ち着き払った姿を目の当りにしたのだった。
同じ中学の一年先輩である氏の存在は知ってはいたが、
その振る舞い、勇姿をシャモニーの名ガイド、ガストン・レビュファーと
重ね合わせていた。

ヨーロッパ・アルプス6大北壁登攀記録が収められた
レビュファー著「星と嵐」(近藤等訳)を読み終えたばかりの私は、
その本にあった細身で頑強な登山靴から延びたか細いがしっかりした
足首に見入ってしまったのだった。

それ以来、私は勝手にN氏を「O高のレビュファー」と名付けた。

運命とは不思議なもので、その氏とはいまでは隣組であり、
世話にもなっている。

それでも、彼の醸し出すオーラは相変わらず私のなかでは
“ガストン・レビュファー”そのものであることに変わりがない‥‥。

by don-viajero | 2007-10-05 20:14 | | Comments(2)
Commented by ガス欠・レビュファーの連れ合い at 2007-10-10 20:53 x
(この項はサービスページですね。)
そうなんですよね。
かつてのN氏はカッコ良かった~
しかしあの頃のムチャが祟って、今では里山ですら下山不能な膝になってしまい、 昔の光 今何処・・・
キノコ求めて林を彷徨っている現在のN氏であります。
すっかり忘れていた雄姿を思い出させて下さって サンクス!
Commented by DON VIAJERO at 2007-10-11 19:44 x
そうですよネ!
水晶の下りで行き会ったときの結わえた髪がお尻まであったお姿。
私の「レビュファー様」。今でも目に焼き付いています。
膝の件は知りませんでした。きっと若い頃のボッカが祟ったのでしょうか?
腰もかなり悪いようですが、くれぐれもお身体をご自愛下さる様、
お伝えください。
つきましては、キノコ採りで「松茸」を期待しておりますことも、
ヨロシク!お待ちしております。


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