陽気なイエスタデイ

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2008年 04月 14日

電気ブラン

この名前に初めて接したのは、30年以上前に読んだ
太宰治の「人間失格」である。
そのなかに登場する、安くてコストパフォーマンスの高い
廃人養成酒としての名だ。
-堀木に財布を渡して一緒に歩くと‥‥
 酔いの早く発するのは、電気ブランの右に出るものは
 ないと保証し‥‥-

そして、その十年後ぐらいに購入した滝田ゆうの漫画「寺島町奇譚(きたん)」。
このなかに描かれているのは戦前の玉ノ井界隈(現東京の東向島あたり)。
主人公「きよし」少年の家族が営む飲み屋で、粋な客がグイっと
あおる電気ブラン‥‥。

先日、友人と横浜へ野球観戦に行ったとき、翌日ラーメン博物館に寄った。
前もってネットで調べるとその電気ブランを飲ませてくれる店があったのだ。
かねてから一度は口にしてみたかった酒である。

博物館は昭和33年の街並み設定ということではあったが、
そこはまるで滝田ゆうの漫画の世界そのものだった。
すっかりタイムスリップしてしまい、快いノスタルジーに浸りながら
入った店はカフェーバー「35ノット」。

友人とともに注文。角氷の入った水グラス、そしてグラスの底と
同じ大きさの丸氷。このなかに注ぎ込まれたアルコール30度の
電気ブランなるものがカウンターに並べられた。

ブランデーとジン、ワインキュラソーそして薬草が配合されているが、
材料の詳細、配合の割合はいまも秘密にされているらしい。

そのブランデーベースの薄赤い液体はほんのり甘く、脳みそを
遥か昔へと誘(いざな)うような飲み物であった。

酔いも手伝い、私自身も少年時代を思い返し、周りのすべてが
昭和30年代に戻ったひとときであった。
これも、その時代を生きてきた者だけが知り得る喜びであろう‥‥。

by don-viajero | 2008-04-14 20:49 | | Comments(2)
Commented by riojiji at 2008-04-16 21:28 x
電気ブランの味は 甘く・・・それだけに郷愁を感じる酒だったのかしらん。
あのノストラジックな空間で感じた事は 「夜中の明るさ」でした。まあ演出的に暗くした方が、よりノストラジーに感じるんだえろうけど・・
今の世の中、コンビニの明るさだけでも 鬱陶しいと感じるワ・タ・ク・シです。遠い昔、親父の漕ぐ自転車にチョコット座り 薄暗い 街を・・・
今度 「滝田ゆうの」の漫画 貸してチョ(笑)
Commented by DON VIAJERO at 2008-04-17 06:36 x
トラは最高のゲームをしたし、2人の安打記念日にも立ち会えた。
そうしたメモリアルゲームに参加することができたこともあり、
それこそ「男どき」のなかで飲んだ「電気ブラン」が、
心と体を酔わせたのでしょう!
「寺島町奇譚」了解!


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