陽気なイエスタデイ

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2008年 05月 02日

超短編小説 『お礼』

山間(やまあい)の残り少ないたっぷりと注ぐ陽を浴びながら、
暖かな縁側で繕い物をしていた。

「やぁ!ばあちゃん!
 今年ももうじき白いものが降って来るねぇ!」
「おぉ!じいさん!元気だったかい?
 最近、ちっとも姿を見なかったから心配してたところだよ!」
「そうなんだよ!オレも群れから追い出され天涯孤独。
 爺様に先立たれたばあちゃんと同じ。
 あっちへ行ったりこっちへ来たり気楽なもんさ!
 ホラ!いつも畑の残り物を頂戴しているお礼だ!」
そう言って年老いた猿は縁側に投げた。
「すまねぇな!オラの畑は一人では食いきれねぇほどの
 収穫があるから、お前さまの好きにしてくれ!」
「ありがとよ!じゃぁまた来るよ!」

-カァ!-
甲高いカラスの鳴き声で目を覚ました。
どうやらウトウトしてしまったらしい。

傍らには大きな松茸が一本転がっていた。

by don-viajero | 2008-05-02 20:45 | 超短編小説 | Comments(0)


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