陽気なイエスタデイ

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2008年 08月 02日

思い出の一冊・Ⅰ

『サハラに死す-上温湯隆(かみおんゆたかし)の一生-』

この本を手にしたのは、長い旅から帰ってきてからだった。
前編として『サハラに賭けた青春』も併せて購入した。
こちらは彼がサハラに行き着くまでの軌跡である。

アフリカ、東西7000キロに及ぶサハラ砂漠。
果てしなき砂の海。
人跡未踏であったサハラ砂漠に一頭のラクダと共に単身で挑み、
22歳の命を燃やした日本人青年がいた。
彼の生死にかかわったそのラクダの名は「サーハビー」。
アラビア語で「わが友よ」。
ときは1974年。3000キロの旅の末、
志半ばで彼はサハラに倒れる‥‥。サハラに死す。

この本はその青年のサハラ横断の手記をまとめたものであり、
旅を通じて青年が求め続けた「生」、そのものである。
衝撃的なタイトルで始まり、本人の死という悲劇的な結果に終わる。
副題の「‥一生」というにはあまりにも短すぎる人生だ。
だが、そのすべてのページで熱いものが確かに胸に残った。
サハラへの強い情熱、激しい「生」への表現と叫びは、
旅を求める誰もが持っているであろう、
眠っている何かを呼び起こさせる。

-冒険とは可能性への信仰である-
彼が残したこの言葉には、強烈なまでの「生」の叫びを感じた。
激しく自由に生きたくなる。
人間の命の強さと弱さ、そして無限とはかなさをも
感じさせられた一冊であった。

彼の死後、20年の歳月を経て1994年2月。
私はサハラの入り口でもあるモロッコ・メルズーガに立った。
どこまでも続く茫洋(ぼうよう)たる砂の海に圧倒された。

そして、今でも私は私のサハラを歩いているのかもしれない。

by don-viajero | 2008-08-02 19:58 | | Comments(0)


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