2008年 09月 23日
貞夫は小学校卒業以来、なんと70年ぶりの同級会に出席した。 毎年開かれていて、案内状もちゃんと届いているのだが、 どうも足の具合が悪く、遠出までして参加する気にはなれなかった。 会場に遅れて入った貞夫は拍手と歓声で迎えられた。 貞夫の座る席は一番の仲良しだった義男の隣に用意されていた。 集まっている面々はみな顔には深い皺が刻まれ、 つるっ禿げの者もいれば、腰の曲がった者もいる。 女性陣のなかには髪を染め、若作りをしているものの、 やはり、よる年波には隠せないものがある。 それでも、30数名いたうちの半数以上は出席しているのでは ないだろうか?これほどにも盛況な会とは思わなかった。 グルっと周りを見渡した後、義男に尋ねた。 「あの隅のほうに座っている、見るからに若々しい女性は 誰かのぉ?」 「あぁ、あいつ?あいつは由美子ちゃんだよ! いつまでも若いねぇ!」 「あれ?彼女、若くして亡くなったって聞いていたけど‥‥。」 -私は中学卒業後、ずっと県外にいて同級生とは付き合いが なかったけど。そういえば‥‥、確か‥‥、 義男は三年前、ガンで逝ってしまったって噂で聞いたような‥‥?- 「おい!貞夫!来年はもっと盛大になるぞ! 俺とお前と誠で組んでいたひょうきん三人組が揃う。 しかも恒夫や哲也、それにクラスのマドンナ、麗子ちゃんも 参加するらしいぞ!賑やかになるなぁ!」 -そうか!私は今年からこちらの同級会の仲間入りに なってしまったのか! そのぶん、あっちの同級会は淋しくなっていくんだろうなぁ‥‥。-
by don-viajero
| 2008-09-23 07:18
| 超短編小説
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