2008年 09月 28日
-It's heads I win and tails you lose.- 「表が出ればぼくの勝ち、裏が出れば君の負け。」 骨董好きの北原照男はしみったれた暖簾のかかっている 一軒の質屋に入っていった。 番台には僅かに自毛を残したしかめっ面の主人が座っていた。 薄暗い店のなかで照男が必死の形相で古ぼけた 小さな壷を差し出し、 「すぐにでも金が要るんだ!頼むよ! この壷は70万で買った代物だが50万でいい! 用立てしてください!お願いします!」 店主は胡散臭い物でも見るように、その壷を手にとり、 「私は骨董品の価値はさっぱりわかりませんので‥‥。」 「そこをなんとか頼むよ。この店でもう六軒も回ってるんだ!」 「それじゃぁ、私どものほうでも調べたいので しばらくお時間をください。」 「困ったなぁ‥‥。じゃぁ今は10時だ。 昼頃、また顔を出す。 そのときまで考えてくれ!朗報を待っているよ!」 「かしこまりました。」 そう言って店主は踵を返し出て行く北原の背中を見ていた。 -さぁ、よわったなぁ‥‥。 たった二時間でどうやって調べりゃいいんだろう? まぁ、こんな訳のわからぬものは断ればいいんだ!-
by don-viajero
| 2008-09-28 19:28
| 超短編小説
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