2008年 10月 24日
ブハラ9時発のバスは、お昼ごろ寄った大きな街で大半の乗客が降りる。 もちろん、私と後ろのほうで一緒に騒いでいた連中のほとんども 「ダ スヴィダーニャ(さようなら)!」と言って降りていく。 変化の乏しい車窓からの景色は退屈だ。 どの旅でもそうであるが、オンボロバスにガタガタ舗装は、 ちょうどよい揺りかごのようだ。静かになった車内ですっかり寝込んでしまう。 途中、トイレ休憩が数回、食事タイムのないまま3時ごろには、 サマルカンド中心街に到着。 旧市街にあるホテルまでは白タクを値切って10分ほどで着く。 外観はすばらしい12階建て高級ホテルと見間違うほどであるが、 中身はボロホテル。指定された11階の部屋も広いだけでパっとしない。 トイレのフロートは壊れ、水は夜7時にならないと出ない。 しかし、ベランダからの眺めは最高だ! レギスタン広場は目の前に見え、横にはグル・エミルがすぐそこにある。 遥か向こうにはアフラシャブの丘が望める。ロケーションだけは抜群だ。 空腹を満たすためにホテル周辺のチャイハナに行ってみたのだが、 時間的にどこも『Closed』の看板が下がっている。 そこへ一人の青年が寄ってきて、 「どうしたんだ?」というようなことを言った。 私がボディランゲジで腹がへったことを伝えると、 「俺についてこい!」という仕草でスタスタ歩き出した。 -どこか開いているチャイハナまで連れて行ってくれるのかな?- そう勝手に解釈し、このショコラ青年(24歳)について行った。 日干しレンガの塀にある、大きな粗末な木製ドアを開けると、 手入れの行き届いたこじんまりした中庭。 そこから招き入れられた部屋は小奇麗なしっかりしたキッチン。 彼は炒め直した、おいしいブロフ(干しブドウの入った羊肉ピラフ)を 馳走してくれた。食後には『ネッスル』のインスタントコーヒー。 お礼にお金を差し出したのだが、受け取ろうとはしない。 白い小型犬を抱いた彼の写真を撮り、住所を聞く。 十分なお礼を述べ、別れる。 はたして、われわれ日本人はどうであろうか? 街でこのような場面に出くわしたとき、言葉も解らぬ異邦人を ここまでして、家に招き入れることができるだろうか? この街に着いて、早速のもてなしにすっかり気分を良くした私は 足取りも軽く、ルンルンでホテルへと戻った。 1階にあるバーを覗くと冷えたビールがあったので、部屋で飲むことを 伝え、買い求めるとバーテンダーが、 「これも飲んでいけ!」とおまけでウォッカのシングルをカウンターに 差し出してくれた。グイっと飲み干し、 「スパスィーパ(ありがとう)!」 -すばらしい青年のいる街。 なにか、もっと素敵な出来事があるかもしれない!この『青の都』で!- そんな期待を膨らませてサマルカンドの夜を迎えた。 *レギスタン広場‥レギは砂、スタンは広場。3つのメドレセ(神学校)に 囲まれた美しい広場。
by don-viajero
| 2008-10-24 21:12
| Uzbekistan
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