陽気なイエスタデイ

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カテゴリ:本( 74 )


2011年 10月 02日

コンビ

コンビニエンスストアーのことではない。
二人の組み合わせのことだ。

揺籃期、近所でいつも一緒に遊び、小学校でも6年間ずっと
同じクラスだった竹馬の友は、10年以上も前に早世した。
中学、高校‥‥とそれらしい友はいたが、どこで何をしているか
ぐらいは知っているが、今は音信不通だ。

漫画の世界でのコンビは、藤子不二雄があまりにも有名だが、
作家にも存在することを知らなかった。その名は『岡嶋二人』。

名前の由来は「お・か・し・な・二・人」かららしい。小学校時代、
明智小五郎が出てくる江戸川乱歩やコナン・ドイルの
シャーロック・ホームズをちょっと齧っただけで、推理物や
ミステリーは食わず嫌いなところがあった。強いて挙げれば
阿刀田高の短編物だけだろう。

しかし最近、宮部みゆきに嵌ったせいか、それら系統本に
魅せられてしまった。横山秀夫、高野和明、奥田英郎etc‥‥。
そんなとき、ちょっと読んでみようかなと注文したのが、
岡嶋二人の『そして扉が閉ざされた』。

f0140209_1842945.jpg一人娘の自殺に疑念を
抱いた富豪の母親が、
彼女が消息を絶つまで
直前の時間を共有した、
遊び友達である男二人、
女二人を10日分程の
カロリーメイトと、配管
されている水だけが供給
される地下シェルターに
閉じ込めてしまう。狭い空間で繰り広げられる脱出劇と
四人の推理による犯人探し。そんな極限状況の密室で
少しずつ謎が解明されてゆく。
しかし、結末は思わぬ方向へ‥‥。とにかく無茶苦茶面白い!

早速、もう2冊アマゾンに発注した。
残念ながらこのコンビ、すでに解消してから久しい。

さて、現在の私にとってのコンビは?
それは、付かず離れずのカミさんなのかもしれない‥‥。
もうかれこれ、30年以上の迷コンビなのだから!

by don-viajero | 2011-10-02 15:39 | | Comments(0)
2011年 08月 14日

オオスズメバチ

今年は、我が家に必ず一つや二つ作ってくれる
キイロスズメバチの営巣がない。G.W後、地窓を
出入りする二匹のハチを見つけたものの、床下に
巣くられても大変なことになると思い、叩き殺して
しまった。そんなキイロスズメバチは、油断して
刺されてしまい、挙句に顔がたとえお岩さんに
なってしまおうと、懲りずに何回も捕った。
しかし、オオスズメバチの姿を見かけても、決して
獲ってみようなんて大それた気持ちは湧かない‥‥。
大人の親指ほどもある大きさで、その飛翔する姿は
見るだけで足がすくみ、地響きのように空気を震わせ
ながら重低音の羽音が近寄るだけで、身じろぎすらも
許されない真の恐怖が流れる。

義姉から、ちょっと風変わりな本が送られてきた。
『風の中のマリア』百田尚樹著。初めて名前を聞く
作家であり、なんとも魅惑的な題名だ。

内容はオオスズメバチの帝国で、女戦士・マリアの
活躍を、彼女の言葉を持って描いたものだ。
小説として面白かったかどうかは脇に置いても、
彼らの生態については十分に理解できた。

文中の
「人間がオオスズメバチを目の敵にするというのは
 聞いていた。動きの鈍い人間相手に戦って負けるとも
 思わなかったが、人間は獲物にならない。無益な
 戦いをする意味がない。」

一部の酔狂なハンターならともかく、動きの鈍い素人
如きが手出しする相手ではない!
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by don-viajero | 2011-08-14 15:25 | | Comments(0)
2011年 07月 24日

シナリオ

最近、とんとテレビを見なくなった。低俗化した
マスコミ(特にテレビ)は政治報道と芸能報道の
区別がつかないほど堕落してしまっている。
タレントだか、アイドルだか知らないが、そんな
知ったかぶりの芸能人が仕切る番組自体が異様だ。
くだらない番組を作るからスポンサーがつかない。
有力なスポンサーがつかないから制作費を安く
済ませるため、安易な番組を作る。まるで
どつぼにはまった”状態だ。余韻を残すような
番組が少なくなってしまった‥‥。
[idol(アイドル)]は人気者だが、[the idle(ジ・アイドル)]は
怠惰な者だ。

子供が幼いころ、テレビを置かなかった。
そのころ、どうしても見たい番組は『北の国から』
しかなかったことにも影響している。近所で仲良くなった
K氏宅へ、その夜だけ子供たちを寝かせつけ、見せて
もらいに行った。もちろん、コマーシャルが始まると
交代で寝顔を確認しに家に戻ったが‥‥。

この『北の国から』シリーズは、テレビを購入してからも、
単発で続いていた。終了後、前編・後編から最後の
『’02遺言』まで、すべてのシナリオ本を揃えた。
セリフ一つ一つを噛み砕くように読む。目を閉じると、
あのときの場面が鮮明に映し出される。

そして、最近では『JIN-仁-』に嵌った。’09シリーズ
ものは見逃してしまっていたが、『レジェンド』を含め、
すべてをネットの再映像で観た。まったく「JINオタク」と
揶揄されてもおかしくないほどになっていた。
終盤、漫画全20巻を欲しくなったが、アマゾンで探しても
ユーズドで安いものが見つからない。そんなとき、友人から
見終えたリミックス版全10巻を譲り受けた。ところが、
テレビの内容とは少しばかり違う。しかも漫画本では、
どうしてもあの臨場感や感動が伝わってこない。

今朝、ユーズドでない『完全シナリオ&ドキュメントブック』を注文した。

by don-viajero | 2011-07-24 09:49 | | Comments(0)
2011年 07月 20日

静かな休日・Ⅱ

続き‥‥シャワーを浴び、軽い朝食を済ませ、f0140209_1104146.jpg
マグカップいっぱいに注ぎ込んだ挽きたての
熱いコーヒーを啜りながらページを捲る。

上下段綴りで550ページもの長編だ。
重松清の『希望ヶ丘の人びと』。
二年前に妻を亡くした男が、二人の子供たちと
彼女の故郷で再出発する姿を描いたものだ。
虐め、学級崩壊、親子愛、トントン拍子に生前の
妻と繋がってゆく周囲の人々との展開。
いつの間にか、氏の得意な世界にのめり込んで
ゆく。泣くまいと思っていても、今回も素直な
ほうに心を揺れ動かされ、緩くなった涙腺から
溢れてくるものを拒むことはできなかった。
あの日以来、数ヶ月ぶりに腰を据えて、一気に
読み終えた本だった。

そして、今の私と同じ年齢に達した2006年・日本公演で、
その見事なオッちゃん面をさらけ出し「これが僕の人生だ!」
と高らかに歌い上げるBilly Joelの『My Life』。
組んだ足の膝を軽く手拍子で叩き、上半身を揺らしながら聴く。


by don-viajero | 2011-07-20 01:12 | | Comments(0)
2011年 07月 01日

梅雨

久々に、本棚から山頭火句集を引っ張り出して、
拾い読みした。
-山あれば山を観る 雨の日は雨を聴く-

今年、夏至(6月22日)の日。しみじみと真っ青な空を
見上げた。目に映り、耳に飛び込み、肌に触れ、深呼吸して、
その味に酔い、香りを嗅ぐ。五感に響くあらゆるもの
すべてを吸収しようとした。それは、胸の奥底までが
爽やかさに溢れ、クールミントガムでも噛んでいるような
初夏の風を辺りに撒き散らし、スカッとした空間を
広げていた。

梅雨に入ってからここ数日、高温多湿な日々が続き、
ちょこっと晴れたと思えば、必ず雨が降ってくる。
周りの空気ばかりか、身体や心のなかまでもが、湿気に
捕われてしまい、カビが生えてきそうな毎日が続く。

それでも、そんな梅雨の合い間に雲を払うようにして
見え隠れする山を、車を停めて眺める。谷あいに残る
雪の塊が、見えるたびに小さくなってゆく。

薄暗い雨降りの朝、トタン屋根を打つ賑やかな音や、
水を張った田んぼを静かに叩く雨音を寝床のなかから聴く。
それは、カーテン越しから子供のように青空を期待する
ワクワク感でなく、しっとりとした‥大人の落ち着きを
伴い、目覚めの早い私を二度寝に誘い込むような感覚だ。

地球は我々にすばらしい‘時’を与えてくれることも
あれば、難しい試練も投げかける。

山頭火の歌には続きがある。
-春夏秋冬 あしたもよろし ゆふべもよろし
  すなほに咲いて 白い花なり-

日々こうあって欲しいものであるのだが‥‥。
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十薬(ドクダミ)

by don-viajero | 2011-07-01 20:11 | | Comments(0)
2011年 05月 20日

串田孫一

キューバの旅の興奮も収まりかけた2月中旬から、
あの日「3・11」まで、暇に託(かこつ)けて20冊以上
新たな本を読んだ。アマゾンから届いた本の新しい
ページを捲ることに快感さえ覚えた‥‥。

あれから今日まで、あの日を境に読み掛けのものを
2冊読破した以外、新たなページを開いていない‥‥。

それでも何故か、若いころ読んだ串田孫一を4冊
本棚から引っ張り出して、拾い読みしていた‥‥。
『旅の断章』、『山の見える窓』、『思索の階段』
そして『ギリシャ神話』。

2ヶ月以上が過ぎ、震災に遭った多くの人々は、
明日に向け歩み出している。
でも‥でも‥‥。いつ終息するとも判らぬ原発が
春の黄砂のように鬱陶しく、息苦しくさせている。

始めのうちは高を括っていた。日本の技術力を
信じていたし、近い将来何とかしてくれるだろうと
思っていた。ところが、東電やその関係者たちの
隠蔽体質や役員たちの高額報酬に呆れ果て、命と
向き合い、日々原発の最前線で働いている人たちの
劣悪な食事や生活を目の当たりにするにつけ
「一体、この国はどうなっちゃったんだろうか?」
切なくなってきてしまう‥‥。

串田孫一の流麗な文章は、まるで荒んでしまった心を
洗い流してくれるようだ。一つ一つの言葉が踊り、輝き、
語りかけてくれる。少しだけ‥‥ほんの少しだけ
息苦しさを払いのけ、氏の世界に飛び込んでゆける‥‥。

by don-viajero | 2011-05-20 20:11 | | Comments(1)
2010年 12月 26日

2010年「この3冊」

「国民読書年」として幕を開けた2010年。
盆前までの勢いなら、年間100冊は軽く読破すると思って
いたのだが、それ以降仕事も忙しくなり、寸暇を惜しんでの
キューバ関係の資料集めに翻弄され、終わってみれば
(まだ数日残してはいるが‥‥)、ここ何年かで一番少なく、
50冊をようやく越えたぐらいだった。

年末恒例の毎日新聞・書評執筆人たちが選ぶ「この3冊」は、
昨年の『1Q84』のように誰一人かぶる作品はなかった。
私は新刊本に関してはよほどでない限り手にせず、もっぱら
アマゾンの「ユーズド」購入読者だから、そこに読んだもの
などあろうはずはない。

さて、今年度私が選ぶ「この3冊」。
一冊目は、宮部みゆき『孤宿の人・上/下』
いまさら説明は要らないだろう。

二冊目。伊坂幸太郎『グラスホッパー』。
当時、著者自身が「今まで書いた小説のなかで一番達成感が
あった」と言わしめた殺し屋小説だ。すでにこの本に続く
殺し屋小説『マリアビートル』が未読のまま棚に置かれている。

三冊目。重松清作品の涙腺からじわじわと湧き出たものが、
いまにも零れ落ちそうに瞼のなかに溜まってしまうような
物語もたくさん読んだ。春先には道尾秀介『鬼の跫音』の
怖くて、背中にゾクっとする冷たいものが走る六篇からなる
ホラー短編集や、『ラットマン』や『シャドウ』etc。氏のどの
作品も伏線の張り方がとても秀逸で、映画『スティング』の
ようなどんでん返しがあり、すべてが繋がったとき、騙されたと
気付かされるものばかりだ‥‥。う~悩む!(笑)
あえて選ぶとすれば荻原浩『誘拐ラプソディ』であろうか?
氏の作品は以前、重いテーマの若年性アルツハイマーを扱った
『明日の記憶』以来だ。
借金を重ねた挙句雇い主を殴り、車を奪い、所持金が底を
尽き、様々な自殺方法を考えていた主人公「伊達秀吉」。
そこへ家出をして、飛び込んできた「伝助」坊や。誘拐を
思い立ったものの、その子の父親たるや表の顔は実業家、
裏はヤクザの親分。対立するチャイニーズマフィアや警察が
絡み合うが、立派な犯罪小説なのに死人が一人も出ない
ユーモア小説。私のなかでは注目の作家の一人だ。
いまは、最近出版された『砂の王国・上/下』を、安くなったら
購入しようと企んでいる。

by don-viajero | 2010-12-26 17:33 | | Comments(0)
2010年 12月 08日

『あの歌がきこえる』

ある人がこんなことを言っていた。
「優れた小説というのは、読み終わったあとで
 誰かと無性に話しをしたくなるものだ。」

10月末、友人から重松清『あの歌がきこえる』を
薦められた。瞼の裏にほんのり溜まる涙あり、
クスクスと含み笑いや、ゲラゲラ腹を抱えて笑える
場面あり、楽しく読み終えた。氏の自伝的青春小説で、
中学から高校卒業までの節々できこえてくる
メロディーを題名にした短編集だ。

1963年生まれの彼とは、ちょうど10年の開きがある。
題名になっている曲を「You Tubu」から引っ張り出して、
聴きながら読み進める。30年前の今日、凶弾に倒れた
ジョンの『スターティング・オーバー』もある。

それぞれの歌が流れていたとき、10年先を歩んでいた
自分を思い起こしながら‥‥。

以前、紹介したように私は寡黙ではない。
誰しもがおしゃべりだと認めるぐらいである。
誰かと無性に話しをしたくなるのは、なにも小説だけ
ではないし、映画にしろ、優れたものでなくとも
自分が出合って面白かったことは、体験談を含め
話したくなる性分だ。

人はいつも語りたがっている。
自分のなかにあるものを表に出す作業は、きっと
気持ちがいいのだろう。

「黙るときを知る人は、言うべきときを知る。」
はたして、私は黙るときを、言うべきときを知って
いるのだろうか‥‥?とふと、想う。

by don-viajero | 2010-12-08 20:15 | | Comments(2)
2010年 09月 08日

悪人

いったい、誰が『悪人』で、何が『悪人』なのだろうか?

日常茶飯事のごとく『悪人』が新聞紙上を賑わせている。
なかには『極悪人』と叫んでもいいような事例もある。

殺人を犯し、逃げ惑う若者が『悪人』なのか?
殺されても仕方なかった女が『悪人』なのか?
彼をそのような境遇に貶(おとし)めた両親なのか?
はたまた彼を取り巻く社会がか?

昨日、カナダのモントリオール世界映画祭に日本から
出品されていた『悪人』(李相日監督)でヒロイン?を
演じた深津絵里が最優秀女優賞を受賞したニュースが
流れていた。私自身、彼女のことはほとんど知らない。

芥川賞作家・吉田修一著『悪人』を読み終えたのは
今年の春先だった。「ヒロイン?」としたのは、作中の
光代がはたしてヒロインと断定してよいものか、疑問が
残るからだ。そして読後思ったことは、
-何故、この作品がベストセラーになったんだろうか?-
不思議でたまらなかった。
時系列に繰り返される登場人物の描写。それは最終章に
近づくにつれ、目まぐるしく次々と移ってゆく。
文章自体それほど褒められるものでもないし、人に
薦められるような代物ではなかった。

作者が映像を意識した作品を書き上げるのか?
それとも、映像に関わる者たちの脚本力の無さが、
安易に映像化に走らせるのか‥‥?

昔から言い尽くされたことではあるが、原作を読んでから
映像を観るか?観たあとに読むか?
多分、私はどちらでもないだろう‥‥。

それは原作のなかで逢える登場人物は私だけのものであり、
それらに優るものがないと思うからであろう‥‥。
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by don-viajero | 2010-09-08 19:55 | | Comments(0)
2010年 08月 29日

モーニング・シャワー

海に囲まれた島にいるわけではないから、当然
波の音なんか聴こえてこない。
それでも、風の囁きや川のざわめきは聴こえてくる。
べつに「モーニング・シャワー」→「朝シャン」のことを
書くつもりでもない。

ナベサダのLP『Morning Island』
をセットし、次に流す『California Shower』

も用意する。くっつけて『Morning・Shower』だ!(笑)

早朝フルトレをこなし、シャワーを浴び遅い朝食。
ベランダにロッキングチェアーを運び込み、
読みかけの本のページを開く。
揺れ動く木漏れ日が文字の上で踊っている。

部屋のなかから快適な音楽が流れ、目の前の
山桜やコナラの梢を小鳥たちがさえずりながら
飛び交っている。

昨日の激しかった夕立も手伝い、夜の間に冷やされた
秋の風が、山吹に色付き始めた稲穂を渡り、木の葉を
静かに揺らし、私の頬をやさしく撫でてくれる。

12の短編が収められた重松清『季節風・夏』。
一つ一つの物語が、涙腺からじわじわ湧き出し、瞼の裏に
溜め込んだものを、いまにも溢れさそうとしている。
そして、最後には「幸せ」の余韻を残して終わる。

『春』はすでに読み終え、『秋』も『冬』も未読のまま
作り付け本棚の空きスペースで横になっている。
山々が紅や黄色に染まり始めたら『秋』を、空が鈍色
(にびいろ)に覆われ、白いものが落ちてきたら『冬』を
開いてみようと思っている‥‥。

U字溝をザーザーと流れる水の音に混じって、遠くから
セミの鳴き声が聴こえてきた。

今日も暑くなりそうだ。

by don-viajero | 2010-08-29 10:39 | | Comments(0)