陽気なイエスタデイ

donviajero.exblog.jp
ブログトップ

カテゴリ:夢( 57 )


2010年 03月 07日

夢・Ⅱ

人が見る夢は、脳内における記憶の転写作用に
よるものらしい。

人間は、日常の出来事を一度大脳にインプットし、
それを後(のち)に海馬という部位に転写して
記憶化する。そのとき、脳内に生じる断片的な
情報の流れこそが、夢だといわれている。

つまり夢は、その人が考えたり、体験したりした
出来事の、断片的な再現なのだ。その破片が複雑に
絡み合って不思議な夢になる。

私の場合、ここにラジオが加わる。
音量を絞った、つけっぱなしの「ラジオ深夜便」から、
無意識に聴こえてくる、話しや音楽が加味されて
しまうことがある。

それは、ときにはデ・ジャブのような作用を引き起こす
だろうし、一つの「夢物語」のようなストーリーをも
完成させる。

ところが、完結に至れば幸いなのだが、途中で目覚め、
途切れてしまい、続きになってしまった場合が一番
やっかいだ。再び、静かに目を閉じ、あらすじを反復して、
夢の続きを見ようとしても、絶対できない。

ベッドに潜り込むとき、一話完結を願い、大きく独り言で、
「さぁて!今夜はどんな楽しい夢を見るのかなぁ???」
なぁ~んて思いながら眠りに入るのだ。

およそ、睡眠導入剤などという薬物を必要としない、
私の夜は、昼間活発に働かなかった脳みそが、余分な邪推を
振り払い、最も活躍する時間なのかもしれない‥‥。

by don-viajero | 2010-03-07 16:05 | | Comments(0)
2009年 08月 20日

超短編小説 『少年』

まったりとした真夏の昼下がり。
心地よい風が微睡(まどろみ)へと誘い込んだ‥‥。

突然、私の前に現れた少年は、
あまりにも不躾な態度ではあったが、
その物怖じしない仕草に、私はすっかり、
気圧(けお)されてしまった。

「おじさん!ボク、おじさんのこと
 何だって知っているよ!」
「そうなの‥?で、君はどこの子なの???」
「そんなこと、どうだっていいじゃん!」
まるで、道ばたにでも落ちているような物言いだった。
「君は、私の何を知っているのかね?」
眉宇(びう)を曇らせて少年に訊ねた。
「じゃぁ、言ってやろうか‥‥。
 ボクの考えも言うから、黙って聞いていてね!」

あろうことか、その少年は私の琴線に触れる
ことまでも、滔々と語りだした。
ちょうど、そのころいろいろなことで、
懊悩(おうのう)する日々を送っていた。
「どうして、君はそんなことを知っているのかな?」
「だって‥。ボクはおじさんなんだもん!」
「君が‥、私‥???」
「そうさ!ボクはおじさんの夢のなかでは、
 成長しないおじさんなんだよ!」
「つまり‥。君は‥わ・た・し・ってことか!
 これからも時々現れて、話をしようじゃないか!」
「あぁ、いつだっていいよ!
 でもね、きっとおじさんの前に出るときは、
 おじさんが悩んでいるとき‥か‥な‥?」
立ち去ろうとしていた少年の顔がこちらを向いた。
「わかった!じゃぁ、またね!
 ありがとう、さようなら‥!」
少年の笑顔がパッと弾けた‥‥そんな気がした。

そのとき、ひゅるっと風が鳴き、私の頬を殴った‥‥。

by don-viajero | 2009-08-20 19:52 | | Comments(0)
2009年 05月 28日

『湖』

真っ暗闇のなかに放り出されたように、
そこがどこなのか皆目解らなかった。

目が慣れるに従い、
おおよその概観を把握できた。

物音一つしない、静寂に包まれた湖。
その湖畔にぼんやり立っていた。

はるか向こう岸にある黒い塊のような山が、
鏡のように凪いだ水面(みなも)に映し出されている。

湖を覆うブルーなモノトーンが、
徐々に明度を増してゆく。

いまだにすべてが止まっているかのようだ。
突然、生ぬるい風が頬を撫でた。

一艘の手漕ぎ舟がこちらに向かって、
舐めるように湖面を滑ってくる。

被り笠の下から尉面(じょうめん)のような
顔をした古老が低い声で言った。
「お待ちしておりました‥‥」

湖に背を向け、踵を返し夢中で走った。
右足を前へ、左足を前へ‥‥。
足の裏が地面に吸い込まれるようで上手く動かせない。
もがく。そしてまたもがく。兎に角もがく‥‥。

目を覚ますとタオルケットが足に絡みつき、
ブルーのカーテンの隙間から朝日が零れていた。


*尉面‥‥老翁の相をあらわす能面。

by don-viajero | 2009-05-28 20:12 | | Comments(0)
2009年 04月 16日

予知夢

フランス語で【Déjà vu】デジャヴュ。
訳して既視感(きしかん)=「すでに見た」の意。

実際は一度も体験したことがないのに、
すでにどこかで体験したことのように感じること。
これと同じように、
-あっ!こんなこと夢で見たような‥‥-
そんな夢を見る方も多くいるだろう。

4月3日付で書いた超短編小説『家族』は
前日の夢を題材にしたものだ。
新しく家族の一員になった犬が登場した。
たまたま犬種が定かでなかったのでポメラニアンと
したのだが、雑種だったかもしれない。
数日後、義姉から10年ぶりに雑種の小犬を
飼い始めた旨の連絡が入った。

10年前、滋賀県・守山に仕事に行ったことがあった。
その後数回、請われて守山まで出かけた。
二年前、そこの奥さんが安曇野に来たということで、
お会いして声を聞いたのが最後だ。
最近、その奥さんの夢を見た。
翌日の夜、唐突もなく奥さんから電話があり、ビックリした。
その夢のなかには、以前登場させた(『あだな』'08年12月1日付)
竹馬の友『〇〇』ちゃんも出演していた。
二日後、地元の銀行で一年ぶりに再開。
この二つの事例はまさに以心伝心のようでもある。

先日はメル・ギブソンまで出てきた。
翌日の朝刊に、彼が離婚をした記事が小さく載っていた。

そして、昨夜。草原に食用?のキノコがいたるところに
生えている夢を見た。周りにいる誰も採ろうとしない。
「何故、採らないの?おいしいキノコだよ!」
そう言いながら、一人夢中になって籠いっぱい採った。
今日のネットニュースで≪マジック・マッシュルーム(幻覚キノコ)≫
の記事を目にした。

くたびれかけた脳みそでも『予知夢』を見るぐらい、
夜中は鋭い感性を持って活躍しているのかもしれない‥‥。

by don-viajero | 2009-04-16 20:35 | | Comments(2)
2009年 04月 03日

超短編小説 『家族』

自ら選んだ結果、守ってきた家族。妻と子。
そして時を経て、その子らが選んだ配偶者や子供たち。

一族揃って、楽しげに、桜の咲き誇った河口近くの堤防を、
新たに仲間入りしたポメラニアンを伴って散歩をしていた。
ウラウラと長閑な陽光を浴び、幸せに浸っていた。
不思議なことに、周りには他の人の気配すらない。

リードを引いていた私を小さな体のくせに、
グイグイと強引に先を急ぐ家族の一員になったばかりの小犬。
何か目的でもあるかのように‥‥。
家族とはますます離れてゆく。

突然、現れた光の中に犬とともに吸い込まれた。
乱雑で薄暗い光景のなかに、
選ばれなかった人生が、死屍累々と散っていた。

あまり騒がない小犬が激しく吠え出した。
暗がりから真っ黒い一匹の犬が飛び出してきた。
こちらを見た。
-あっ!以前飼っていた愛犬のマックだ!-
立ち止まり、悲しげな目を投げかけて暗闇に消えた。

出逢う人々は異口同音に、
「私のことは忘れてください。」
そう呟いていた。

再び、強い光が現れ、家族の前に出た。
彼らはにこやかな笑みを浮かべ私と小犬を迎えた。

何事もなかったかのように‥‥。

by don-viajero | 2009-04-03 21:08 | | Comments(0)
2008年 12月 16日

超短編小説 『現在・過去・未来』

私より遥かに若いきみは、狭いガレ場の登山道を
ヒョイヒョイと歩いてゆく。
辺りはミルク色の霧に閉ざされ、私はなんとかきみの
後ろ姿を見失わないように追いかけてゆく。

登山道から落ちる小石がガラガラと音を立て、
不安定な岩を巻き込みながら、
奈落の底へとその響きを大きくして崩れ落ちてゆく。
溌剌と歩を進めるきみにはどうやら聞こえないらしい。

先を行くきみの前に小さな山小屋が、
霧のなかからボンヤリと現れた。
きみは小屋の外にいた老人となにやら話し込んで、
私を手招きし、二人して小屋の中に消えた。

平屋建ての小屋の内部はさながら小さな図書館だ。
二人は私に背を向けたまま会話にはしゃいでいる。
山や旅、本の話題だ。
私は聞き耳を立てながら、本棚に並んでいるものを眺める。
「岩と雪」、「山渓」の雑誌や山岳文学本。
世界中の国の名が記された旅行本もある。
私の本棚にある物以外の見知らぬタイトルを冠したものや、
学生時代、図書館で借りた本までがある。

しかし、私は先を急がなくてはならない。明日の仕事に‥‥。
きみと老人の間に座ってゆっくり話をしたい‥‥。
十分な温かさを放出する薪ストーブの前で談笑するきみと老人は、
私の存在を無視するかのように二人だけの世界にいる。
確かに見覚えのある二人の後ろ姿‥‥。

入ってきたドアは消え失せ、書棚以外の場所は総ガラス張り。
外の真っ白なミルク色したガスに覆われているように
私にはなにも見えない。ただ見えているのは現実の煩わしさだけ‥‥。

ガラス越しからわずかに光が零れる空間が現れた。
少しばかり開いていた窓を開け、私は外に出た。
一目散に光を求めて走り出した。
振り向くとあれほど視界を邪魔していた霧もすっかり晴れ、
山小屋もなくなり一本の険しい登山道だけが続いていた。

カーテンの隙間から差し込む朝日に目覚まされたとき、
私の目の前にはきみも老人もいなかった。
ただ、いつもの見慣れた風景だけだった。

by don-viajero | 2008-12-16 20:28 | | Comments(2)
2008年 11月 03日

超短編小説 『手術室』

麻酔をされ朦朧とした意識のなかで、
微かに目に飛び込んできたのは、
手術服に身を包んだ小学校の同級生だった妙子。
同じ服装で隣にいるのは、やはり同級生だった弘樹。

妙子が自己紹介する。
「脳外科の山本妙子です。
 これから貴方の脳にある腫瘍を撤去します。」
続いて弘樹が、
「心臓外科の中野弘樹です。
 脳手術と同時進行で心臓バイパス手術をします。」

二人はマスクをかけ、妙子の手には電動ドリル、
弘樹の手には鋭利なメスが握られている。

-そんなバカな!お前ら俺よりあんなに
 成績が悪かったのに‥‥。なんで医者なんだ!
 こんな手術、きっと失敗するぞ!
 ヤメロ!ヤメロ!止めてくれぇ~~~!-

-ウィ~ン ウィ~ン-
電動ドリルのスイッチが入れられる。
-ギャァ~~~~~!-

目が覚めた。
心臓が高鳴り、体中脂汗でビッショリだ。
頭と枕に挟まれてラジオのイヤホンがゴリゴリあたっていた。

-そういえば、最近人間ドッグを受けていないなぁ!
 近いうちに予約しよう!-

by don-viajero | 2008-11-03 20:43 | | Comments(0)
2008年 08月 16日

超短編小説 『夢の途中』

夢を見ていた。

つけっぱなしのラジオから
けたたましいDJの語りとともに
グループサウンズの曲が流れている。

階下から母の
「はやく起きなさ~い!ごはんですよ~!」

目が覚めた。
壁にはハンガーに吊るされた学生服。
部屋中に張られた三角ペナントや
等身大のジョーニー・ウォーカー、
天井にはポール・マッカトニーのポスター。
ベッドのなかには中学生の私がいた。

-そうだ!斜向(はすむ)かいのみよちゃんに
 「おはよう」の挨拶しなくっちゃ!-
甘酸っぱさの残る片思い。

夢よ!覚めないでくれ!

by don-viajero | 2008-08-16 07:39 | | Comments(0)
2008年 07月 13日

夢 『第五夜・変身』

小学校から中学、高校、大学そして今の職場まで
ずっと同い年の竹馬の友。
お互い、性格はおろかすべてを知り尽くした仲である。
そんな彼が一ヶ月前に結婚した。
なかなかの美人だ。特に唇が艶(なまめ)かしい。

ところが結婚後、彼はやけに足が速くなった。
一緒に並んで歩いても、いつも置いて行かれそうになる。
小学校から俺は常にかけっこで一番、あいつはビリ。

ある日夢を見た。
彼の新妻が彼の足をあの唇でむしゃぶり食っている。
そして、その付け根を舐めていると新しい足が生えてきた。
変わったのは足だけではなかった。手先も器用になった。

また夢を見た。
彼の新妻が彼の指を旨そうに一本一本食べている。
そして舐めているとやはり新しい指が生えてきた。

しばらくして彼に話した。
「お前、結婚してから変わったな!」
「お前もそう思うか?なんだか足が速くなったり、起用になったり‥‥。」
「どうしてなんだ?」
「俺にも解らん!」

また夢を見た。
彼の新妻が彼の頭を食べている。そして首元を舐めていると
新しい頭が生えてきた。

頭の回転まで良くなってしまった。確信した。
小学校のときつけたオデコの傷跡がない。
「オイ!お前まだ気づかないのか?」
「なんのことだ?」
「お前は、昔から足が遅くて、不器用で、俺より頭が悪くて‥‥。」
「バカ言うな!俺は昔から足が早くて器用でお前より頭が良かったんだ!」

by don-viajero | 2008-07-13 07:20 | | Comments(0)
2008年 07月 10日

夢 『第四夜・CHANGE』

秋も深まり、我が家でも炬燵が活躍するようになった。
外はヒューヒューと電線を揺るがす冷たい風が吹いている。

オイラは炬燵に潜り込みウトウトしてしまった。
夢を見た。
オイラは向かいの家のシーズー犬になった。

この寒いなかご主人様と散歩に出かける。
自由に歩き回ることもできないリードを付け、
着たくもないチャラチャラした服を着せられ、
「待て!」だの「お座り!」だのやたらに命令される。

向こうから耳に可愛いピンクのリボンを付けた、
魅力的なポメラニアン嬢がやって来た。
少しでも彼女に近づこうとダッシュをしたのだが、
ご主人様にグイっとリードを引っ張られた。
「ウッ!苦しい!」
彼女とのスキンシップさえままならない。
家に帰ってきてからも旨くもないドッグフードだ。

そのうち魚を焼く匂いがして目が覚めた。

「タマ~!お前の好きな秋刀魚ごはんよ~!」

by don-viajero | 2008-07-10 20:26 | | Comments(0)