陽気なイエスタデイ

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2009年 03月 29日

体育教師

数多(あまた)の教え子を抱える教師にとっては、
そのなかのたった一人の生徒であっても、
その教え子にとって、印象深い教師がいる。

先日、隣町に住む友人である和尚と後輩二人を交え、
久闊を叙して飲み会をやった。
彼らと一同に会するのは実に、二年ぶりのことだった。

その席で、中学時代、後輩の二人も教わった
A教師の名が挙がった。
前日、地方新聞の「おくやみ欄」にその名があったからだ。
しかも、翌日和尚が葬儀を執り行うということで、
いささか、失礼なことではあるが、
故人の話題で盛り上がった。

体育の授業中、私は一人の同級生とグランドの隅にある
鉄棒のところで、A教師の悪口を言っていた。
そのとき、A教師は遥かはずれの体育館のそばにいた。
ところがである。
何故か、彼が我々のところへ一直線に、
しかも、我々から目をそらすことなくスタスタと向かってきた。
すっくと仁王立ちのまま、
「お前ら!今、私の悪口を言っていただろう!」
「そんなぁ!言っていませんよぉ!」
「嘘を言うな!ちゃんと聞こえていたんだからな!」
「???」
距離にして優に200m以上離れていた。
そんな場所まで、悪戯な風が我々の会話を運んだのだろうか?
まさしく、信じられぬ出来事であった。

我々二人に課せられたその日の授業は、
終了までの30分間以上グランドを走り続けることであった。

by don-viajero | 2009-03-29 17:12 | エッセー | Comments(0)
2009年 03月 23日

超短編小説 『錯覚』

高層ビルに囲まれ、ほとんど陽が当たらない暗い土地に、
一風変わった7階建てのマンションが建った。
どうやら、この辺りでも有名なA不動産会社の
社長の肝いり物件らしい。
不思議なことに、その建物には出入り口以外窓が一切ない。
当然、社長自らセールスに当たっている。
売り出し文句はこうだ。
≪陽当たり良好!閉所恐怖症・高所恐怖症の皆様には最適な物件です!≫
しかし、なかなか契約数が伸びないらしい。

日曜だというのに誰もショールームを訪れない。
社長は手持ち無沙汰の警備員と話しこんでいる。
午後の陽も傾きかけたころ、一人の男が一階の受付に現れた。
「部屋を見せて欲しいんだが‥‥。」
「はい!それでは二階のモデルルームにご案内します。」
社長は男を伴ってエレベーターに乗り込んだ。
スイッチ盤には一階、次は二階しかない。
ただし、二階の表示には2-①、2-②‥とそれぞれのボタンがある。
社長は2-⑦を押した。
エレベーターが停まり、モデルルームの入り口が開けられると、
そのリビングの広さと天井高に客は圧倒された。
「なんて広い部屋なんだ!20畳はあるかな?」
「いいえ、とんでもございません!その半分ぐらいです。
 いろいろな視覚の錯覚を利用しておりまして‥‥。」
「ほう、なるほど!この天井が高く見えるのも‥そうか‥。」
「閉所恐怖症の方には喜ばれております。」
「ちょっとベランダから外を覗いてみてもいいかな?」
「よろしいですよ!」
そのとき、社長の携帯が鳴った。
「ちょっと失礼!」
客に背を向け、なにやら豪勢な会話が聞こえてくる。
男は一人でベランダへ出て行った。
-なんて開放感のある広さだ!しかも直ぐ階下には目の覚めるような
 青々した広い芝生‥‥-
人工太陽光が燦々と降り注いでいるのだ。
通話を終えた社長が部屋のなかから弾んだ声で、
「どうですか?」
「なかなかすばらしいマンションですね!」
そう言いながら社長のそばに戻った男の手にはナイフが握られていた。
「オレはこういうものだ!」
「あれ?ナイフ屋さんですか?」
「ふざけるんじゃねぇ!お前がこのマンションのオーナーだって
 ことは判っているんだ!さぁ!金を出せ!」
社長は素直に分厚いサイフを差し出した。
「ほ、ほぉ!さすがこれだけのマンションを建てる社長さんだ!
 結構持っているじゃねぇか!」
男はすばやく中身だけを抜き取りベランダへと走り出した。
「あのぉ~、入り口はあっちですよ!」
「ばっきゃろぉ~!入り口には警備員がいるじゃねぇか!」
そう言ってベランダの柵を乗り越え飛び降りた。
「ぎゃぁ~~~!」
男の悲鳴がマンション全体に響き渡った。
「やれやれ、高所恐怖症の方のために、一階以外すべての階を
二階のように工夫したのに‥‥」

by don-viajero | 2009-03-23 20:59 | 超短編小説 | Comments(2)
2009年 03月 21日

錯覚・Ⅱ

だいぶ下火になってきた『オレオレ詐欺』ではあるが、
いまだに、ときどきニュースで流れてくる。
最近でも『定額給付金』がらみの詐欺も報告された。
騙された高齢者は
「お金を貰えるはずが、そのためにお金を払う
 なんておかしいと思った‥‥」
とコメントしているのだが‥‥。
傍からみれば、何故‥?何故‥?

錯覚とは、いうまでもなく間違いを認識することであり、
間違えてしまう理由も存在しているからである。
●間違えやすいものを間違えない。
●間違う理由のあるものを間違えない。
簡単なことであるような、ないような‥‥。
だからこそ、錯覚を利用した詐欺が蔓延(はびこ)るのだろう。

ところで、早くもコメント欄に正解が載ってしまったので‥‥。
f0140209_18275510.jpg

またまた下半分読めませんね!
「ちゃんと答えがでてきますね!」です。

物事を平易に考えていると、思わぬ落とし穴が
大きな口を開けて待ち構えている。
ご用心!ご用心!!

by don-viajero | 2009-03-21 18:35 | エッセー | Comments(2)
2009年 03月 19日

錯覚・Ⅰ

投稿欄では数式を入力することができないので、
Word文章をスキャンして載せました。
f0140209_2020784.jpg

半分しか見えない、最後の一文は
「それまでじっくり頭の体操をしてみて下さい。」です。

by don-viajero | 2009-03-19 20:26 | エッセー | Comments(5)
2009年 03月 15日

運命のズレ

半世紀以上生きてこれば、楽しいこともあれば、
当然、悲しいことだってある。
楽しいことしか思い出せない人生なんて、
あろうはずがない。

自分で動いた結果、もたらされる運命。
自分が動かなくて、知らされた運命。
歩まずして捨ててきた分かれ道。

高校2年、春を感じ始めた暖かな3月のこと。
友人からスキーの誘いがあった。
残念ながら、その週の休日には予定があった。
次週なら一緒に行ける旨を告げ、誘いは断った。
そして、翌週行こうということになったのだが‥‥。

彼は一人で行った。
夜遅くになって、彼の母親から連絡があった。
ゲレンデのコースを外れ、立ち木にぶつかり、
即死したことを‥‥。
顔面グチャグチャだったことも‥‥。

何故、次の週まで待てなかったのか‥‥?
一緒に行っていれば‥‥?
いろいろな思いが駆け巡った。
思い詰め、やりきれなさだけが残った。
おそらく、当時はかなり懊悩(おうのう)する日々が
続いたことであろう。

里の雪が消え、枝木の芽が膨らみ始めるこの時季、
40年も前の出来事が、今でも胸を
抉(えぐ)るような悲しみを持って沸いてくる‥‥。

by don-viajero | 2009-03-15 19:40 | エッセー | Comments(0)
2009年 03月 12日

歴史物

小学生だったころは、
『源義経』や『織田信長』、『豊臣秀吉』、『徳川家康』等の
平安から戦国時代を描いた歴史人物書を、よく学校の図書館で
借りて読んだものだ。おかげで日本史は得意科目になった。
NHKの大河ドラマは時代考証がしっかりしていて、
自分の記憶と照らし合わせて観られるから楽しい。

最近、ある書評から佐江衆一著『江戸職人綺譚』の
なかにある『水明り』を読んでみた。久しぶりに手にした歴史物だ。
それ以前といえば、数年前に読んだ抱腹絶倒ものだった
清水義範著『大剣豪』まで遡る。

夜鷹(娼婦)と通りすがりで「最後の客」となった
桶師の切ない一夜の物語である。江戸職人の心意気が
なんとも気持ちよい短編だ。
因みに、佐江衆一という作家、藤田まこと主演の
『剣客商売』にときどき特別出演していたらしい。

そんな折、NHKラジオからシブくて素敵な声が流れてきた。
声の主は、ゲストとして江戸文化を語る山本一力氏であった。
その声に惚れ込み、早速アマゾンで氏の文庫本2冊(2冊で2円)を
注文した。

しかしながら、時代物はこの歳まで知らなかった言葉が
ポンポン飛び出すからやっかいだ。
それでも少なからず、それらを調べて覚えることも
楽しみの一つになるのではなかろうか。
(生憎、この本には注釈がないのだ!)

例えば「棄捐令(きえんれい)」。借金の棒引き令だ。
今のご時世、銀行からこれをやってもらえば、
喜ぶ人々は大勢いることであろう。
「幇間(ほうかん)」は太鼓持ちのこと。知らなかったなぁ!
「脇息(きょうそく)」。よく時代劇に登場する助平悪代官の
横にある肘掛け。

たまには、テレビに映るチャンバラ物ではない江戸を
ぶらり、ぶらりと散歩するのも一興であろう。

by don-viajero | 2009-03-12 21:14 | | Comments(2)
2009年 03月 08日

マイレージ

この特典を使って、二回無料航空券をGETして旅をした。

一回目は、米国シアトル・マイアミ経由で
グアテマラへ入り、グアテマラ各地。
陸路、国境を越えてホンジュラス・コパン遺跡まで
足を延ばした。

二回目は、やはり米国ダラス経由でメキシコシティから
メキシコ各地。

私のマイレージは南米へ行ったとき取得した。
アメリカン・エアーラインズの『アドバンテージ』
というものである。
しかも、クレジットカードで100円の買い物をすると、
1ポイント入るシステムになっている。
アメリカン・エアーラインズと同じ『ワン・ワールド』の
グループに入っているエアーラインなら、
どこでも適用される。日本では日本航空がそうである。

また、カードが使える店舗なら、金額の多少に拘らず、
たとえ100円の買い物でも使う。
大人数の宴会があれば会計者に頼み込んで、
私のカードで支払いをする。
云うならば「お他人さんの褌で相撲を取る」である。
これでも、地道な努力を積み重ねた結果である。

現在、カードには8万ポイント以上ある。
これは5万ポイントを使って中米へ。
7万ポイントでヨーロッパへと行ける数量である。

今年は好々爺(こうこうや)として、家族と一緒に
マレーシア・ペナンへ行った。
来年はユーラシア大陸の西の果てへ‥‥と思っている。
ポルトガル・ロカ岬で一人遥か大西洋を望んでいる姿を、
瞼の裏で重ね合わせている日々である。

by don-viajero | 2009-03-08 19:35 | ◆旅/全般◆ | Comments(2)
2009年 03月 05日

映画

観る映画のことではない。
出演した映画のことである。

町営の山小屋でアルバイトをしていたときだった。
その小屋の宣伝映画を創るということになり、
観光課の所長さんから主演を指名されたのだ。

ストーリーはいたって簡単。
とてもアカデミー賞を狙えるようなものではない。
山小屋で働いている一人の好青年?を訪ねて、
恋人が登って来るというものだった。
恋人役は、同じ時期にアルバイトをしていた
後輩のK君の妹。もちろん逢ったことはない。

念のためにK君に尋ねた。
「おい!おまえの妹って可愛いか?」
「兄貴のオレが言うのもなんだが、可愛いよ!」
心のなかで快哉を叫んだね!

ところがである。いざ、撮影の段階で、
ストーリーを変えるという連絡が入った。
兄貴のもとへ妹が訪ねてくるものになってしまったのだ。
こうなれば、当然の成り行きとして、
本物の『兄妹物語』と相成るわけだ。

私が主演のはずであった『山岳純愛物語』は、
遥かアルプスの風に吹き飛ばされて、
どこかへと消え去ってしまった。
そして、主役はK君となり、私は他、数名の脇役となり、
重い荷を運ぶボッカ姿で、チョイと出てくるだけに終わった。

果たして、何故そうなってしまったのかは、
その妹さんが小屋へやってきて、納得したのであった。

by don-viajero | 2009-03-05 20:50 | | Comments(0)
2009年 03月 02日

一言居士

この言葉、どうも私のためにできたような
気がしないでもない‥‥。
‥んなことはないか!なんのことはない。
私のような人間を、この言葉が言い表しているのだ。

テレビのトーク番組を見ていても、
三宅久之氏とか勝谷誠彦氏なんか同じ
部類に入るのではなかろうか?

小学校でも中学校でも、クラス替えがない分だろうか、
席順というものをしょっちゅう変えた。
隣り合った席同士、6人前後でグループ分けをする。
快濶でおしゃべりだった私は、
ほとんど、どのグループになっても、
そこでの長になる。
他の子が何か言おうものなら、一言、二言、
余計なことを言う。
というより、言わなければ気が済まないのだ。

このスタイルは、今でも変わっていない。
飲み会でもお茶話のなかでも、
誰かの発言に必ずといってチャチャを入れる。
しかも、その話題に関連付けて自分の話に
引きずり込む。まったく、嫌な性格である。
ちったぁ、静かにお他人さんの話を聞いていれば
よいものをと、反省することも、しばしば‥‥。

されど、性格と云うものは、そうそう簡単に
頭のなかで解っていても、直せるものではない。
くたびれかかった脳みそのほうから、
明快な回路が出来上がり、指令してしまうのだ。

それが『私』であり、だからこそ、
その姿が『一言居士』たる所以なのだ。
と、諦めている昨今である‥‥。

by don-viajero | 2009-03-02 20:25 | エッセー | Comments(2)