陽気なイエスタデイ

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2009年 04月 25日

超短編パロディ小説 『みの虫国物語』

あるところに『みの虫』の国がありました。
以前は平和で何も争いごともなかったのに、
ヨタロウ虫たちとヤイチロウ虫たちが、
国を二分していがみ合うようになってしまいました。
それというのも、どうやらヨタロウ虫の仲間のなかに、
強力な権力を握ったウルシ虫が現れたからです。
漆の毒で気に入らない虫たちを次から次へと、
問答無用にやっつけていくのでした。

そのころ、テレビではモンタという電波芸者虫が大活躍。
まるでヨタロウ虫たちの喋る広告塔のようでもあった。
しかも、彼はとりわけ『みの虫国』の中年女虫たちに、
それは、それは人気がありました。
モンタはテレビでいつもヤイチロウ虫の大沢虫は
「悪い虫だ!悪い虫だ!」と言っておりました。

ある日のこと、大沢虫の幇間(ほうかん=太鼓持ち)
である小久保虫が逮捕されてしまいました。
内緒で甘い蜜を吸っていたからでした。
そんなことは、どの虫たちも隠れて、そっとやっていることなのに、
いきなり逮捕されたのです。

さて、裁判が始まりました。
つい最近、裁判員制度を導入した『みの虫国』では、
裁判員にモンタとおばちゃん虫四匹が選ばれました。
実はおばちゃん虫たちはモンタの大ファンだったのです。
いままでなら罰金程度で済んだはずなのに、
小久保虫は禁固一年の実刑判決が下されました。

モンタとおばちゃん虫たちは大喜びしました。
そして、ウルシ虫は益々強大な権力を握り、
『みの虫国』大統領より偉くなってしまったのでした。

はたして、以前のような平和で穏やかな
『みの虫国』はいつ訪れるのでしょうか‥‥。

by don-viajero | 2009-04-25 20:20 | 超短編小説 | Comments(2)
2009年 04月 23日

山菜

昨年も春がドッとやってきて、
桜の花もワッと開いて散っていった。

今年はそれよりもはるかに早い
桜の花散らしを見ようとは‥‥。

花散らしの嬌艶(きょうえん)が済むと同時に、
始まったタラの芽の膨らみ。
季節が10日ほど歩みを速めている。

タラの芽の膨らみを合図に、
川を隔てた地続きの森に入るのが、
この時季の楽しみでもある。

陽当たりの良い場所では、
すでにコシアブラが葉を広げ始めている。
木々の芽吹きのなかで匂ってくるほのかな甘い香り。
梢をわたる鳥たちのさえずり。
ウグイスが上手になった歌声をこれ見よがしに
森じゅうに響き渡している。
何もかもが春の訪れを祝福しているかのようだ。

昨秋植え替え、こんもりと籾殻を被せた山ウドも
小さな葉を覗かせてきた。
土手には、雪国のそれには及びはしないが、
コゴミも先端を丸めスッくと伸び始めた。

タラの芽が『山菜の王様』ならば、
さしづめ、コシアブラは『山菜の女王』だと
思ってやまない。

しばらくは、我が家の食卓に幾種類もの山菜が、
賑やかに色を添える日々が続きそうだ。
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            タラの芽とコシアブラ

PS: 以前、コメント欄に載せたことのある、
    義母作のすばらしい俳句を再掲載する。

   「新緑に 百の色あり 命あり」

by don-viajero | 2009-04-23 20:43 | エッセー | Comments(2)
2009年 04月 20日

超短編パロディ小説 『ぐりとぐら』

青い帽子のぐりと赤い帽子のぐら。
仲良し野ねずみの童話‥‥ではありません!

-グリ グリ グリ-
ゲンコツの突き出た中指、第二間接が脳天を押さえる。
可愛い孫を虐めていた少年は半泣きだ。
「だったら、もう年下の子を虐めちゃいかんぞ!」
「わかったよ~!エ~ン エ~ン」

-グラ グラ グラ-
背後からきた少年の父親に殴られた!
そのまま二人は去ってゆく。

-グラ グラ グラ-
殴られた頬に手を当てながら、
「歯!歯が抜けそうだぁ!」
「大変だぁ~!
 おじいちゃんの少なくなった歯が抜けちゃうよ~!」

-グラ グラ グラ-
「おじいちゃん!ボクの歯も抜けそうだよぉ~!」
「おまえはいいんだ。新しい歯が生えてくるんだからな!」

-グリ グリ グリ-
「おじいちゃん!新しい歯が生えてきたよ!
 僕の抜けた歯、おじいちゃんにあげるよ!」

-グラ~リ グラ~リ グラ~リ-
「ありがとよ!
 感激で頭がグラグラしてきたよ!」

仲良しおじいちゃんとその孫のお話でした‥‥。

by don-viajero | 2009-04-20 20:22 | 超短編小説 | Comments(0)
2009年 04月 16日

予知夢

フランス語で【Déjà vu】デジャヴュ。
訳して既視感(きしかん)=「すでに見た」の意。

実際は一度も体験したことがないのに、
すでにどこかで体験したことのように感じること。
これと同じように、
-あっ!こんなこと夢で見たような‥‥-
そんな夢を見る方も多くいるだろう。

4月3日付で書いた超短編小説『家族』は
前日の夢を題材にしたものだ。
新しく家族の一員になった犬が登場した。
たまたま犬種が定かでなかったのでポメラニアンと
したのだが、雑種だったかもしれない。
数日後、義姉から10年ぶりに雑種の小犬を
飼い始めた旨の連絡が入った。

10年前、滋賀県・守山に仕事に行ったことがあった。
その後数回、請われて守山まで出かけた。
二年前、そこの奥さんが安曇野に来たということで、
お会いして声を聞いたのが最後だ。
最近、その奥さんの夢を見た。
翌日の夜、唐突もなく奥さんから電話があり、ビックリした。
その夢のなかには、以前登場させた(『あだな』'08年12月1日付)
竹馬の友『〇〇』ちゃんも出演していた。
二日後、地元の銀行で一年ぶりに再開。
この二つの事例はまさに以心伝心のようでもある。

先日はメル・ギブソンまで出てきた。
翌日の朝刊に、彼が離婚をした記事が小さく載っていた。

そして、昨夜。草原に食用?のキノコがいたるところに
生えている夢を見た。周りにいる誰も採ろうとしない。
「何故、採らないの?おいしいキノコだよ!」
そう言いながら、一人夢中になって籠いっぱい採った。
今日のネットニュースで≪マジック・マッシュルーム(幻覚キノコ)≫
の記事を目にした。

くたびれかけた脳みそでも『予知夢』を見るぐらい、
夜中は鋭い感性を持って活躍しているのかもしれない‥‥。

by don-viajero | 2009-04-16 20:35 | | Comments(2)
2009年 04月 14日

寝台列車

枕木の「ガタ~ン ゴト~ン ガタ~ン ゴト~ン」。
一定のリズムで、薄っぺらなベッドの枕を通して
聞こえてくる。まるで子守唄を聞かせるように‥‥。

初めて寝台列車に乗ったのは、
今から2年前、友人とベトナムへ行ったときだ。
ハノイの北西約240km、中国雲南省と接する
国境の町ラオカイへの往復で利用した。
上下二段づつある4人用コンパートメント。
片道約9時間の夜行列車だ。
帰りのハノイ行きでは、同室のフランス人青年と
フランス育ちのベトナム娘のアベックとで、
酒を酌み交わし、大いに盛り上がった。
次はダナンからホーチミンまでの約16時間の長旅だ。
昨年訪れたタイでもバンコク発チェンマイ行きで利用した。

若いころ乗った長距離国際列車の
ギリシャ・アテネからトルコ・イスタンブール、
トルコ・アンカラからイラン・テヘランはどちらも
コンパートメントではあったが4人用の長椅子だった。

アテネ発の列車は、同じユースに宿泊していた
日本人二人と予定が合い、私達三人。
そして一人の若いソマリア人の男だった。
夜中、ムンムンとする車内で、上半身裸になったソマリア人の、
ときおり、窓から飛び込んでくる僅かばかりの灯りに照らされ、
黒光りする肌には目を奪われるほど驚いたものだ。

最近、日本では夜行寝台列車が次々と廃止されてゆく。
残された上野発、札幌行きの『北斗星』には、
以前から一度は乗ってみたいと思っている。
しかし、如何せん料金が高い!
これでは速くて安い飛行機に、その座を奪われてしまうわけだ。
それでも、時間をゆっくり持てるようになったとき、
是非にでも乗ってみたいものだ。

暗闇のなかを疾風する車体を導く二本のレール。
それを支えている、あの枕木たちから伝わってくる
「ガタ~ン ゴト~ン」を寝物語で聞きながら‥‥。

by don-viajero | 2009-04-14 20:46 | ◆旅/全般◆ | Comments(2)
2009年 04月 11日

容姿

今年は松本清張生誕100年だそうだ。
推理小説をあまり好んで読まない私でも、
『短編‥‥集』等に紛れ込んでいる
氏の作品はときどき拝読する。

軽薄な番組ばかりやっているテレビ局でも、
これに併せて氏の作品のドラマを放映する。
今夜、放送の短編小説『駅路』は脚本・向田邦子とあって、
見ごたえのあるものになっているのではなかろうか。

氏が短編『鉢植えを買う女』に登場させている
一人の女性をこんな形容で表現している。

-上浜楢江は、三人の中で一番体格が良く、
 一番縹緻(きりょう)が悪かった。
 彼女は、一重皮の鋭い眼と、肥えた鼻と、
 大きくて厚い唇とをもっていた。

まるで、手鏡で作者自身の顔を丹念に
描いているようである。

日本には古来「痘痕(あばた)も笑窪(えくぼ)」
というすばらしい言い方がある。
まぁ、活字のなかだけで登場人物の特徴を、
強烈なまでも印象付けようとすれば致し方ないのか。
しかし、少しばかりの表現で読者だけの想像を
かきたてる手法も良いような気もするのだが‥‥。

不断の会話のなかで、相手からこんな表現をされたら、
たまったものではない。
当の本人でなくとも不快な思いになることは必定だ。

「蓼(たで)食う虫も好き好き」であり、
「人のふり見て我がふり直せ」である。

by don-viajero | 2009-04-11 08:43 | | Comments(1)
2009年 04月 07日

南極大陸

はたしてこの大陸に上陸するとき、
-パスポートは必要だろうか?-
ふと、思った。

私の住む地区で、昨年度同じ役員仲間だったK氏が、
南極越冬隊員に選ばれた。
5,6年前にこの地区に新居を構え仲間に入ったのだが、
彼が何を生業(なりわい)にしているのか?
どのような生活をしているのか?
家族構成はどうなのか?
そんなことにはとんと無頓着だった。

突然、身近な者の南極行きの話を耳にして、
二つのことが脳みそを駆け巡った。

一つは、すでに交通事故で鬼籍に入ったT君。
彼が若いころ、越冬隊員になりたくてがんばったこと。
しかし、駄目だった。何故選ばれなかったかは知らない。
ただ、隊員に選ばれることは、そんなに簡単な
ことではないことだけは確かだ。

もう一つ。グラハム・ハンコック著「神々の指紋」だ。
1818年人類が南極大陸を発見する以前、
すでに、1513年にピリ・レイスという人物が
精密な南極大陸を描いていた。
それは、彼が調査して作成したものではなく、
古代から伝えられた地図を編集し、模倣しただけのものだった。
その事実から始まったハンコックの『失われた文明』を
求めて、世界中を調査した本である。
『車』の概念がなかったにも拘わらず巨石文明を築いた南米、
マヤ・アステカから出発する一大仮説である。

白く氷に覆い尽くされた謎の大陸。
ペンギンたちが戯れるロマンの大陸。

先日、地区として盛大な?壮行会を開いて送り出すことが、
役員引継ぎ会で決まった。

by don-viajero | 2009-04-07 22:23 | エッセー | Comments(0)
2009年 04月 03日

超短編小説 『家族』

自ら選んだ結果、守ってきた家族。妻と子。
そして時を経て、その子らが選んだ配偶者や子供たち。

一族揃って、楽しげに、桜の咲き誇った河口近くの堤防を、
新たに仲間入りしたポメラニアンを伴って散歩をしていた。
ウラウラと長閑な陽光を浴び、幸せに浸っていた。
不思議なことに、周りには他の人の気配すらない。

リードを引いていた私を小さな体のくせに、
グイグイと強引に先を急ぐ家族の一員になったばかりの小犬。
何か目的でもあるかのように‥‥。
家族とはますます離れてゆく。

突然、現れた光の中に犬とともに吸い込まれた。
乱雑で薄暗い光景のなかに、
選ばれなかった人生が、死屍累々と散っていた。

あまり騒がない小犬が激しく吠え出した。
暗がりから真っ黒い一匹の犬が飛び出してきた。
こちらを見た。
-あっ!以前飼っていた愛犬のマックだ!-
立ち止まり、悲しげな目を投げかけて暗闇に消えた。

出逢う人々は異口同音に、
「私のことは忘れてください。」
そう呟いていた。

再び、強い光が現れ、家族の前に出た。
彼らはにこやかな笑みを浮かべ私と小犬を迎えた。

何事もなかったかのように‥‥。

by don-viajero | 2009-04-03 21:08 | | Comments(0)