陽気なイエスタデイ

donviajero.exblog.jp
ブログトップ

<   2009年 09月 ( 8 )   > この月の画像一覧


2009年 09月 27日

アンニュイな午後

「天高く 馬肥ゆる秋」
大気が澄んで空が高く感じられ、
馬はよく食べて逞しくなる。
今日では、心身とも爽やかで気持ちがよく、
食欲が進むといった意味で使われている。
しかしこの言葉は、もともとは単に秋の好事説や、
食欲のことをいったものではなかった。

その昔、北方に住む中国人はこの時季になると、
しばしば北方民族(匈奴)の襲撃にあった。
春から夏にかけて草をたっぷり食べて、
肥えて逞しくなった馬に乗り、冬の糧(かて)を
求めて侵入してきた。
空が高く澄み渡る季節になった、またそろそろ
あの匈奴が肥えた馬に乗って襲ってくる、
注意を怠るべからず。これが本来の意味だ。
彼らにとって、まさに憂鬱なときなのだ。

食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋‥‥。
様々に形容される秋ではあるが、どうもおかしい‥‥。
空には刷毛で掃いたような爽やかな巻雲が
気持ち良さそうに浮かんでいるというのに‥‥。

机の上には読みかけの長編小説が二冊、洋書の短編小説、
一話完結の時代物の文庫本、その作者のエッセー集、
数ヶ月前からのナショジオが数冊‥‥。
そして旅情をくすぐる季刊誌『旅学』。
「人生が旅だというのなら、僕らは旅で人生を学ぶのだ」の
謳い文句に魅せられて購入した。
それらが無造作に積み重ねれている。

本を開く気力?さえ失せてしまっている‥‥。
まるで、その昔匈奴に怯える日々を過ごしていた亡霊たちに
捕われてしまったかのようだ。

いえいえ、午後がアンニュイなのではなく、
今日は、私がアンニュイなのだろう‥‥。

by don-viajero | 2009-09-27 13:08 | エッセー | Comments(2)
2009年 09月 23日

超短編小説 『赤い糸』

私と彼とは、生れたときから『赤い糸』で
結ばれているんじゃないかと思っていた。

あるグループのコンサートで隣り合わせたのが
きっかけ。
-運命の出会いってあるんだ!-
ず~っとそう思っていた。
あらゆる趣味やフィーリング、音楽まで
すべてが合っていた。
ただ一人のロックミュージシャンを除いては‥‥。

いろいろ手を尽くし、私の大好きなそのミュージシャンの
コンサートチケットを二枚手に入れた。
どうにかして彼をあの魅力の虜にさせたかった。

不承不承の彼を連れ立って行った。
会場はものすごい数の観客でいっぱいだった。
人波に押され、私は彼とはぐれてしまった。
必死になって、私と彼との小指に結ばれて見えない
『赤い糸』を頼りに探した。

ところが、どうにかして『赤い糸』を手繰り寄せた先は、
カッコいい見知らぬ男性の小指に繋がれていた。

-新しい恋が始まるのかもしれない?!-
真夏の夜のコンサートだった‥‥。

by don-viajero | 2009-09-23 19:50 | 超短編小説 | Comments(0)
2009年 09月 20日

893

東京での足掛け6年間、同じアパートにいた。
京王井の頭線、渋谷から下北沢の一つ手前の駅、池ノ上。
四畳半で炊事場、トイレ共同。しかも、入居した当時は
ポットン便所。二階のそれは、強烈なアンモニアの
匂いに悩まされたものだ。いろいろな面で不満があったが、
引越しをしなかったのは、ただ単に面倒だっただけ。

薄っぺらな壁を隔てた隣には、同じ四畳半に家族四人が
暮らしていた。上の子は2歳、下は生れたばかりの赤ん坊。
二人とも目のクリっとした可愛い女の子。
旦那は、平日にもかかわらず昼間もいるときがあった。
-一体、何をしている人だろう?-
穏やかな人だったが、ときたま漏れ聞こえてくる
ドスの利いた声。若い来客に
「いざとなれば、俺にはハジキがあるからな!」
ションベンでもチビリそうになるほどビビった!
薄々感じていたことを現実として受け入れた瞬間だ。
人呼んで893=ヤクザ。

ある朝、たまたま下北沢まで一緒に歩いて行ったことが
あった。店の前を掃除している商店主が挨拶をする。
「おはようございます!」
「オー!」
その横柄な態度から、この辺りを牛耳っている幹部らしい
ことを容易に推察できた。

銭湯で一緒になったときなんか、いつもは洗い場の棚に
石鹸類を置いて湯船に浸かっていようものなら、
あっという間に場所取りをされてしまったが、上半身刺青で
半そでシャツを着ているような輩との会話は、
誰一人として、そんな不埒なことをする者はいなかった。
ときどき、長いこと留守をすることもあった。
-あぁ、またお勤め(刑務所)に行ったんだなぁ‥‥-

そんな御仁に一度だけ人生を諭(さと)された。
酒を注がれ、零れ落ちる涙を拭うことを忘れ、聞き入った。
翌日、
-オレって意外と泣き上戸なんだなぁ‥‥。
 何で泣いたんだろう???-
あっけらかんと心に残らなかった涙を反復した。

上京するたびに、
-あの場所へ、あの空間へ舞い戻ってみよう!-
と思いながらも、急行の窓から通り過ぎる駅を眺めている‥‥。


by don-viajero | 2009-09-20 07:16 | エッセー | Comments(0)
2009年 09月 17日

私的解釈 『一週間』

日曜日に市場へ出かけ、
-食料や足りなくなった生活品、ついでに-
糸と麻を買ってきた。
-ばぁさんが逝ってしまってから
 針仕事は自分でやっている。-

月曜日にお風呂を焚いて、
-入ろうとしたが、寝てしまった。-
火曜日にお風呂に入る。
-一週間分の垢を洗い流す。気持ちがいい。-

水曜日に友だちが来て、
-遥か遠方より友来たる。
 久しぶりに人間との会話ができた。
 泊まってもらった。
木曜日は送っていった。
-また、一人暮らしが始まる。寂しいな‥‥。-

金曜日は糸巻きもせず、
-午前中は近くの湖で釣り。
 午後はじっくり本を読んだ。-
土曜日はおしゃべりばかり。
-と言っても、愛犬相手のおしゃべりだ。-

友だちよこれが私の
-寂しい年金暮らしじゃよ。-
一週間の仕事です。
-仕事とは呼べない生活だ‥‥。-

テュラ テュラ テュラ テュラ テュラ テュララ
テュラ テュラ テュラ テュ ラ~ラ~

こんな生き方、あってもいいかな?

by don-viajero | 2009-09-17 21:24 | 超短編小説 | Comments(0)
2009年 09月 12日

小さな旅

学生生活最後の夏休み。
9月のカレンダーもあと数日で10月に替わろうとしていた。

そんな穏やかなある日。
暖かな陽射しに唆(そそのか)されるように、
ある目的を持って、伊那にいる山仲間のS氏のもとへ、
24段変速のサイクリング自転車に跨って出かけた。

「オレ、明日、このまま東京へ行こうと思うんだ!」
「まさか、自転車でか?お前にできるわけがない!
 無理、無理、絶対無理だよ!
 もし、明日、夜中までに東京に着くようだったら、
 俺はお前に尊敬の念を払うよ!酒も奢ってやる!」
すでに、ロードレース用の自転車に凝り始めていたS氏に、
軽くいなされてしまった。その夜、二人で伊那の街を飲み歩き、
彼のアパートに舞い戻ったのは夜中の1時を回っていた。

翌朝、5時半起床。
隣でぐっすり寝込んでいるS氏に気付かれぬよう、
そ~っと部屋を出る。
酔いの残っている身体にムチを打ち、いざ出発!
一旦、辰野まで引き返し、朝靄の有賀峠を越えると、
霧の晴れた眼下には諏訪の‘海’。国道20号線に合流。
標識には『東京198km』。あまりの天文学的数字に唖然とする。

中間点の甲府には11時半着。-よし!行けるぞ!-
15分ほど休息を兼ねて昼食。それ以外はひたすらこぎ続ける。
大月までの坂道、向かい風に不平を吐きながら、
-ナンダ坂、コンナ坂-を唱え、何度となく自転車から降り、
押して歩く。そんなとき、辺り一面に広がるブドウ畑から
見知らぬおばちゃんの声。
「ホレ!取れたてのブドウ持っていきな!」
うれしかったね!勇気百倍-ファイト~ イッパ~ツ!-

狭くて真っ暗で、その上排気ガスで充満している
笹子トンネル内を、ひっきりなしに行き交うトラック便に
肝を冷やし、「ワーワー」叫びながら抜ける。

最後の登りは小仏峠。
沈みゆく秋の優しい陽射しが背中を押してくれた。
峠から見える、夜の帳(とばり)に包まれ始めた八王子。
灯りが点(とも)りだした静寂な街全体が耳をそば立てているようだ。
その街目掛けて雄叫びをあげた。
「やった~!やったぞ~!オレはやったぞ~!」
一気にスピードをつけ、転がるように下って行った。

by don-viajero | 2009-09-12 19:50 | ◆旅/全般◆ | Comments(2)
2009年 09月 06日

秋祭り

一昨日の雷を伴った雨が秋風を連れて来た。

晴れ渡る天空には筋雲、うろこ雲、すっかり秋の空だ。
気持ちよさそうに、低空を行き交うトンボたち。
湿気を含まない空気がなんと美味しいことか!

週末ともなれば、夜の乾いた空間を伝わって、
そこかしこから聞こえてくる、笛や太鼓のお囃子の音。
地区の小中学生が一生懸命練習を重ね迎える秋祭り。

昨年、久しぶりに地区の役員として、山車造りをした。
一同に会し、持ち場を割り当てられた役員たちも、
「あ~じゃない‥、こ~じゃない‥」を繰り返し、
受け継がれてきた証拠写真を照らし合わせ、
それぞれが忘れ去ってしまった祭典委員だった記憶を
手繰り寄せている。

幸い、天候にも恵まれ、無事執り行うことができた。
長老をはじめ、我々のような中堅どころ、若い衆、
新しく地区の仲間に入った者たち。
綿アメ屋、おもちゃ屋、ゲーム屋、神殿でのくじ引き‥‥。
みんなで力を合わせ、造り上げてゆく地区の祭り。
華やかさはないが、それに携わった者たちだけが、
共有する充実感。

以前は、時代の変化とともに、
廃(すた)れるものは廃れて当然だと思っていた。
しかし、残せるものなら、残せる者たちで残して行こう。

そんなことを思える年代になったのだろうか‥‥。

by don-viajero | 2009-09-06 06:49 | エッセー | Comments(0)
2009年 09月 03日

昆虫食

二階の窓から見渡す田圃もだいぶ黄ばんできた。
稲刈りを待つ、たわわに実った稲穂は、
その頭(こうべ)を垂れ、安曇野を渡る爽やかな
風に揺られ、擦れ合う音は交響曲を奏でているようだ。

先日、あぜ道でチョコチョコ飛び跳ねている
小さなイナゴを見つけた。
稲刈りが済んだあぜで、母とよくイナゴ捕りをした。
木綿の手ぬぐいを袋にし、そのなかに次々と入れる。
ゴソゴソ袋のなかのイナゴが騒ぐ。
幼い私の鼻は、母が作ってくれるイナゴの佃煮の
匂いで満ち溢れていた。
海を持たない我々にとっては、貴重なタンパク源だった。
稲の害虫であるらしいが、それによってコメの収穫量が
落ちたという話は聞かない。

お蚕さんのサナギも食卓によく上った。
今でも、スーパーで『絹の花』という名で売られている。
熱いご飯に合い、特に弁当に入れると美味しい。

今年は雨が多かったせいか、蜂の巣を見ない。
アシナガバチはおろか、スズメバチの巣も見当たらない。
昨年は、夜陰に乗じ二個も捕った。
その後、とてつもない大物を狙ったときには、
見事に眉毛付近を刺され、あっという間に‘お岩さん’に
なってしまったが‥‥。

ただ、同じ信州に住んでいても、伊那谷で食べられている
『ザザムシ』だけは口にしたことがない。
私の範疇では、あの虫は魚釣りの餌であり、
食べるものではないのだ。

昨年訪れた内陸国ラオスの市場では、食用として
カエル、ネズミ、ヘビ、果てはコウモリまで売られていた。
また、屋台のおっちゃんが勧めてくれたゲンゴロウの
串焼きは、いかな私でも食指を動かすまでには
至らなかった‥‥。

by don-viajero | 2009-09-03 20:39 | 男の料理 | Comments(0)
2009年 09月 01日

アンチ‥そして燃える秋

悲劇的英雄であった、判官源義経に同情する気持ち
『判官贔屓(ほうがんびいき)』。
多くの日本人が持っている心情である。

これが高じて‘アンチ’。酔えば飛び出す私の三大アンチ。
『アンチ自民・アンチ巨人・アンチ松商』。
数十年来、頑(かた)くなにこの姿勢を貫いている。

以前、ある宴会で同席した叔父から、こんなことを訊かれた。
「お前は右か?左か?」
「叔父さん!人間、そう十把一絡(じっぱひとから)げに
 括(くく)るもんじゃないと思うよ!
 ただ、俺はこの歳まで、投票行動として、
 自民党にも共産党にも入れたことはないけどね!」
あまり尊敬できるほどの人物ではないが、
それでも市関連の要職を務めている。

今回の選挙で、ようやく自民党は完膚なきまでの
惨敗を喫し、アンチとしては躍如たる思いである。
アンチ松商も実のところ、その高校の野球部というよりは
監督に対してだった。残念ながら彼は他所の高校の
監督になってしまい、いささか、肩透かし気味である。

さて、問題は巨人だ。我が贔屓チームにとって
永遠のライバルである。
昨年の逆転優勝。そして今年も首位を突っ走っている。
これもひょっとしたら、どこでもしゃしゃり出てくる
〇〇ツネがいなくなれば、幾分すっきりするのだが‥。

ところで、8月初旬。
4年前、私の熱き思いとは裏腹に、惜敗どころか
惨敗をしてしまったF氏が、満を期して
市長選立候補表明をした。
昨夜、事務所開きに馳せ参じた次第だ。
いよいよやって来た私の『燃える秋』。
投票まで一ヶ月余。
血沸き、肉踊る熱き戦いが始まった‥‥。

by don-viajero | 2009-09-01 20:16 | エッセー | Comments(0)