陽気なイエスタデイ

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2010年 05月 30日

山小屋

屏風で滑落してから、学校へ、通院と、梅雨時の
鬱陶しさも手伝い、引きずる足を恨めしく思いながら、
悶々とした日々を過ごしていたときだ。

下宿先に山岳部の先輩U氏から電話が入った。
「おい!お前、屏風で落ったんだってな!
 どうせ夏になってもガンガン登れないんだから、
 山小屋でアルバイトでもしないか?」
U氏が町営の山小屋で、小屋番の責任者をしていることは
予てから知っていた。
「どうして知っているんですか‥‥?
 まぁ、そんなことはどうでもいいや‥‥。
 やらしてもらいますか?」
「頼むよ!休みに入ったら直ぐに登って来い!
 それから、あと二人、アルバイトを探してくれないか?
 あっ!もう一つ、小屋へ来るとき、スイカの土産も頼むよ!」
「はい、解りました。なんとか二人、探してみます!」
「それじゃぁ、よろしくな!期待しているぞ!」

そのころになると膝の調子もほとんど治り、普通の山行には
支障がなかったのだが、ザックの中の丸いスイカの納まりは、
如何ともし難いものだった。

小屋で働いているメンバーの何人かは顔見知りだった。
ところがである。スイカを差し出したときのみんなの笑顔を
思い描きながら登って来た私を待っていたのは、厨房の
大テーブルにドカ~ンと鎮座したもう一つのスイカ玉だった。
前日、小屋に入った「フチュウのヨーコ」(あの頃『港のヨーコ・
ヨコハマ・ヨコスカ』が流行っていたので‥)という女性の
土産物だった。そのとき、この御方が私の義姉になるなんてことは、
夢想だにしなかったのだが‥‥。

後日登って来たアルバイト要員の写真部の後輩二人がタバスコを
買ってくるよう頼まれた。彼らが麓の農協で購入したときの会話は、
その夏中大笑いの種だった。
「タバスコ、どこにありますか?」
「なにぃ‥‥?タバスコ‥‥?剣ズコかい?角ズコかい?
 どんなスコップだい???」

by don-viajero | 2010-05-30 19:40 | | Comments(0)
2010年 05月 27日

秘密基地/番外編

ある夏、秘密基地に集合した僕たちは、
ちょっとした冒険に出かけた。

仲間以外でも噂として広がっていた話しだったが、
臆病者ぞろいの僕たちは、一人では怖くて
その場所に近寄れなかった。
でも、どうしても一度そこを覗いてみたかった。

襲われたらどうしよう‥‥?
僕たちは秘密基地に置いてあるチャンバラ棒と
パチンコを持って、武者震いしながらそ~っと
その場所に近寄って行った。

二つの川に架かった鉄橋を超え、国道が走る橋の
すぐそばにやって来た。草むらに隠れて様子を窺った。
生唾を飲み込んだ瞬間、一人が呟いた。
「誰もいないみたいだぞ‥‥!」
「Oちゃんはここで見張っていてくれ!
 僕とAちゃんとMちゃんで見て来る!」
Oちゃんを一人残し、僕たちは真上を国道が走る
堤防を恐る恐る駆け上がった。

煤で汚れたその場所には、人間の頭ぐらいの川石を
並べた炊事場があり、空っぽの汚れた鍋や小枝が横に
積んであった。段ボールで囲った狭い空間があり、
明らかに誰かがそこで生活をしているようだった。

「お~い!Oちゃんも上がって来いよ!」
走ってきたOちゃんは目を丸くして、
「すっげぇ!僕たちの秘密基地より立派だね!」
「雨はかからないが、車の音がうるさいよ!」

「浮浪者の宿」。「ホームレス」なんて言葉はなかった。

何をやっていた人か、どのくらいの年齢だったのか、
いまとなってはわからない‥‥。

by don-viajero | 2010-05-27 20:11 | エッセー | Comments(0)
2010年 05月 25日

秘密基地

戦争も知らず、平和なときに育った昭和の少年時代。
男の子だったら誰もが憧れた「秘密基地」。
そんな「秘密基地」を一度ならず、何度か作った。

「秘密基地」とは、子どもたちだけで、人気(ひとけ)のない
ところに作る一種の集合スペースだ。
建物と建物の隙間だったり、森の中だったり、あるいは簡単な
木の上だったりした。
それは、チャンバラごっこをした挙句の、忍者や隠密剣士の
隠れ家だったのかもしれない。

最初は小学校就学前。
近所で飼われなくなったヤギ小屋だった。一坪ぐらいの
狭い空間は、小さな子どもにはちょうどよい広さだった。

小学校時代には、冬、田んぼに積まれた稲わらのなかに
隙間を作り、出入りした。
体中がチクチクしたが、その中は暖かかった。

大きな川の合流点に、我々が「ワシントンの森」と名付けた
明るい森があった。柳の大木の樹上をコムラサキが飛び交い、
草原の日なたには、小さくても羽を広げると見事な瑠璃色を
したルリシジミが華麗に舞っていた。

小学校も高学年になると、さすがに「トム・ソーヤの冒険」の
ようなツリーハウスとはいかなかったが、その大きな柳の下の
藪の中に、捨てられた波トタンや葉の付いた枝を組んで小屋を
作り上げた。近くには綺麗な流れの川の淀みがあり、
たくさんのメダカが泳いでいた。転がっていた半割りした
ドラム缶を浮かべボート遊びもした。

「秘密基地」には、仲間のみんなが自分のお気に入りのものを
持ち寄ってきた。漫画雑誌やかんしゃく玉、Y字のパチンコ。
大人たちの目の届かない自由な世界を手に入れたような
気がしていた。

いつしかあの森もなくなり、平成の子どもたちにも「秘密基地」は
あるのだろうか‥‥。

by don-viajero | 2010-05-25 20:07 | エッセー | Comments(0)
2010年 05月 22日

快走

明日の貴重な日曜日、拠所(よんどころ)ない仕事が
入ってしまったので、強引に休日にしてしまった。

一週間に一度の15㌔ランニング。
日曜日に雨が降ったり、何らかの理由で走れなくとも、
帳尻合わせのようにして、他の日を割り当てる。
一つの休日を空ければ、15日間、半月走らないことに
なってしまう。走ることが趣味とまではいかなくとも、
ある種の強迫観念に駆られる‥‥。
また太ってしまうのではないか?‥‥と。

録画された映像を繰り返し流しているような休日の日課だ。
しかし、その都度飛び込んでくる景色は、冬とは違い、
一つとして同じ波が寄せないように、日々表情を変えている。

晴れれば初夏を通り越して、真夏を思わせる陽気だ。
一気に黄色い松の花粉が飛び交い、埃っぽいくせに
ほんのちょっぴり黄緑色の香りが溶けているような春の風。
週初めに水鏡のように澄んだ水を湛えた田んぼは、
表面をウグイス色に濁らせてしまっている。

ジグソーパズルのような木漏れ日が、途切れ途切れに
足元を照らしている快適な林間コース。両脇に広がる
森からは、小鳥たちの歌声が軽やかに響き渡り、
生い茂った葉の隙間を縫うようにしてその影がよぎる。

昔、それが耳に入ると聴こえなくなってしまうと脅された
タンポポの綿毛もほとんどどこかへ飛び去ってしまい、
連綿と子孫を広げている。後に残されたものたちは、
みすぼらしく雁首を揃え、坊主頭をさらしている。

いっときの花々の競演は彩りも失せ、替わりに様々な色の
ツツジが通りを飾っている。
快調に走り終え、我が家の木陰を覗けば、今年も楚々とした
著莪があちこちに咲き乱れ始めた。

参:「ダイエット」

by don-viajero | 2010-05-22 20:08 | Run | Comments(2)
2010年 05月 20日

買う目的ではあるが、スーパーを覗くのが好きだ。
特に、このあたりで一番最近できた大型スーパーは、
エスニック商品を豊富に置いてある。

東南アジアのものからインド、中東、南米、メキシコetc。
多彩な品揃えだ。
メキシコから帰ってきてからのしばらくは、タコスに嵌り
この店で食材を購入して、よく作ったものだ。

海外へ行っても、スーパーによく立ち寄る。
もちろん、お気に入りのものがあれば買う。
日本とは違った食材の並ぶ店内は、時間つぶしに
歩き回っても、その国の食文化を垣間見ることができる。
もっとも、スーパーすらない国では、活気のある
市場をぶらつく。店子(たなこ)との掛け合いが楽しい。

モロッコ/マラケシュのスーク(市場)でマギーの「ハリラスープ」
6袋(当時一袋約100円)購入した。
帰国後、このスープに合挽き肉を入れて食べた。
ラマダンに入り、一日の断食が終わり、拡声器から流れる
「アッザハーン」の合図で、空きっ腹に流し込む熱々のハリラの
なんと美味しかったことか!

ブルガリア/ヴェルコ・タルノボのスーパーでは、素焼きの入れ物に
入ったヨーグルトを見つけた。
フィルムのプラスチック容器に入れ持ち込んだ(成田で見つかれば
没収だったが‥)。
菌を増やし、いまでも冷凍保存してある。
キューリと胡桃を混ぜて作る「スネジャンカ(白雪姫)」
ときおり、酒のつまみにしている。
普段、食べているカスピ海ヨーグルトより酸味の強いブルガリア
ヨーグルトのほうが、この料理に合っているから不思議だ。

今回、ポルトガルではやはり、スーパーでクノールの
「Creme de Marisco」を2個(一個二袋入り)購入した。
これは魚介類のスープで、冷凍のイカ・エビ・ホタテのパックを
解凍後、一緒に煮込めば本場のスープを味わえること間違いなし!

旅は、各地の「食」も重要な楽しみでもある。

by don-viajero | 2010-05-20 20:35 | ◆旅/全般◆ | Comments(0)
2010年 05月 17日

「ワンス・アポン・ア・タイム」

昨日、走れなかったので今日は休日にした。

「ウフフ」と山が笑っている。
パッチワークはなにも秋ばかりではない。
新芽の若緑、深緑の濃い緑、少し高い所では、まだ芽吹きの
始まっていないこげ茶色。そして、そんな山々の奥に広がる、
この時季にしては、ベッタリと多めの雪を纏ったアルプスの白。

ほとんどの田圃は田植えを終え、水を張ったなかに
水鏡として山々を映し出している。
水面(みなも)を軽やかに渡る爽やかな春の微風(そよかぜ)は、
植えられたばかりの早苗たちを静かに揺らしている。
ときおりムッとするアスファルトの上を覆う、若芽の葉から
差し込む木漏れ日が小躍りしている。

昨日は、仲間と作っているもち米の田植えだった。
一時間ほどで手植えも終わらせ、昨年暮れに残ったもち米で、
七臼の餅つき。古代米の赤米を混ぜたものやヨモギの草もち。

ご苦労会のなかで、れんげ米の話しがまとまった。
「ところで、れんげ米のことはどうなったの?」
「何言ってるだい!
 この前、種まきのあとのご苦労会でMさん、
 『俺に任せろ!俺がれんげ部長としてがんばるよ!』って
 宣言したの覚えてないのかい?」
「?????かなり酔ってしまったので‥‥。申し訳ない!
 すっかり脳みそから零れ落ちていました!」
あのときの話題が、完全に記憶から消えていた私だった。

その夜、つきたてのお餅と、田植えのとき畦で採った
ネンブル(ノビル)を肴に、焼酎を飲みながら目を閉じると、
「ワンス・アポン・ア・タイム」に耽る一人の中年男が、
満面の笑みを浮かべ、一面に広がるれんげ畑で戯れていた。
「あった!あった!真っ白なれんげ草だぁ!」‥‥。

れんげ草

by don-viajero | 2010-05-17 20:09 | ずくの会(米作り) | Comments(0)
2010年 05月 14日

方言・Ⅱ

満開の山桜の大木が点在し、新緑眩しいなか、
5月4日、東屋・春のパーティーは参加人数13名と
盛大なものだった。
採り立てのコシアブラは、天ぷらに揚げている先から
奪い合うようにして、みんなの口に運ばれていった。

少し遅れて、初期メンバーのM氏が奥さんを連れて
やって来た。
「はぁるかぶり!」
奥さんは目を白黒させ、キョトンとした表情で、
「それ、何語???」
彼女の出身は関西だ。
小屋の前にある倒木の残骸を見て、
「この木どうしたの?」
「3月のドカ雪でおっぽしょれたんだ!」
再び、
「??????」
集まった仲間のうち、生粋の地元民は私を含め3人だけ。
関西出身者は5人だ。

昔、安曇野出身のフォークグループがいた。
そのリーダーが、我こそが安曇弁の代表ぶった態度に、
ずっと反目を抱いていた。

その土地で普通に暮らしていれば、いくらでも方言が
飛び出してくる。私でさえ、意味不明の方言が存在している。
彼だけが特別なわけではない。

「おしきせに障る。」という言葉がある。
この「おしきせ」、好きだなぁ‥‥。
晩酌のことである。

「ちゃんと、おつべんこして、まてぇな人だ!」
             ↓
「ちゃんと、正座をして、細かいことに気を使う人だ!」

by don-viajero | 2010-05-14 20:34 | エッセー | Comments(0)
2010年 05月 12日

超短編小説 『魔法のランプ』

ガラクタ市で、古びてはいるがどこかとっても
上品なランプを見つけた。

すっかり綺麗に磨き上げ、灯油を入れて火を灯すと、
黒い煤のなかから、ボァ~っと大男が現れ、
「私のランプを綺麗にしてくれてありがとう!
 お礼にアナタの願い事を三つ聞いて差し上げます!」
「まぁ!素敵!私、お金が欲しいわ!」
「あいにく、いま持ち合わせが無いんだ‥‥。」
「それじゃぁ、お金持ちの彼氏が欲しいな‥‥。」
「そんなのは、ご自分でお探しなさい!」
「なによ!一つも聞いてくれないじゃない!
 それなら最後に、いつまでも老いの来ない
 若さを頂戴な!」
「はい、はい、そんな若いまま長生きしたところで、
 碌なことはないですよ!あきらめなさい!」
「アナタ、本当は願い事なんか聞いてくれないんでしょう!」
「いいえ、私はアナタの三つの願い事は聞いてあげましたよ!
 聞いてあげても、叶えてやるとは言っていませんからね!
 人間とは、何と欲深い生き物なのだ!」

そう言うと、ス~っと姿を消してしまった。

by don-viajero | 2010-05-12 20:14 | 超短編小説 | Comments(0)
2010年 05月 09日

男の料理・Ⅱ

ほんの二週間前には、誰もが驚いた雪が積もったというのに、
G.W後半、三日連続の真夏日。生身の人間ばかりか、植物たちも
戸惑ってしまうような天候も、ようやく春らしい陽気に戻り、
緑の若芽で満ち溢れる季節になった。

毎日曜、カミさんが夕方出かけるので、夕食は自分で作っている。
結構凝るときもあれば、簡単に済ませてしまうときもある。
今夜は、今が旬のその身がプリプリと大きくなったアサリ料理を
試してみた。しかもこのアサリ、血液中の余分なコレストロールを
排出し、肝機能を高めてくれる優れものだ。
題して「アサリのカタプラーナ」。

「カタプラーナ」とはポルトガルの二枚貝のような形をした
銅製の鍋だ。その鍋を用いて魚介類や野菜を蒸し煮にした料理を
総じてその名で呼ばれている。しかし、この鍋15,000円前後と
いささか値が張る。どうせ一人分なのでアルミ鍋で代用する。

材料:1人分
砂抜きアサリ‥200g 玉ねぎ‥1/4個 ニンニク‥1かけ
薄切りベーコン‥3枚 赤唐辛子‥少々 香菜(パクチ)‥少々
オリーブオイル‥大さじ1 塩‥少々 胡椒‥少々 水‥大さじ2
①玉ねぎとニンニクはみじん切り、ベーコンは5mm角に切る。
②鍋にオリーブオイル、玉ねぎ、ニンニク、ベーコンを入れて
 中火にかけ、塩と赤唐辛子を加えて玉ねぎが柔らかくなるまで
 炒める。
③アサリを入れて混ぜてから水を加えて蓋をする。5分ぐらい
 中火にかけアサリの口が開いたら出来上がり。
④皿に移して香菜をかけ、胡椒をひく。

ついでにアサリのパスタも作った。
出来上がったアサリを適当に取り分け、フライパンに汁と
オリーブオイルを適量混ぜる。白く乳化してきたら塩・胡椒で
味を整え、予め茹で上げたパスタを加えてあえる。

この胡椒、いまでは日本人・倉田氏により復活した、かつて
「世界一おいしい」と謳われていたカンボジアで買ってきた黒の
「Dry Ripe Pepper」(完熟胡椒)だ。

爽やかな微発泡白ワイン/ヴィニョ・ヴェルデが料理を、料理が
ワインをそれぞれ引き立てている。ハナマルでした!

前述『男の料理』

by don-viajero | 2010-05-09 20:29 | 男の料理 | Comments(0)
2010年 05月 06日

お金

その地上53階建てのビルができたころは、最上階にある
展望フロアーに一度は上がって、東京の夜景を見ようと
思っている人々で一杯だった。いまでは新たにできた隣接する
80階建てのビルに人々の関心は移ってしまい、物見遊山で
そのビルに入る者はわずかだ。
途中、51階、52階にあるレストラン街に停まるだけの
直通エレベーター内には私一人しかいなかった。

密室の壁に張られた広告類から視線を滑らせ、足元を見た。
100円玉が一つ転がっている。腰を屈めそれを拾い上げ、
そのままの姿勢で辺りを見回す。
-あった!あった!‥‥!-
開閉口のわずかに窪んだ場所に、100円玉や500円玉が
あるわ!あるわ!
気がつけば、ズボンの両ポッケが膨れ上がっていた。

まだまだあるコインを拾い上げる前に51階で
-チ~ン-と音がして、扉がす~っと開いた。
ピカピカの長靴を履いた禿げ頭に腹の出たおっちゃんと、
厚手の膝掛け毛布を煽った車椅子のおばちゃんがいた。

「おっ!ちょうどえぇ!兄さん!頼みがあるんや!」
「???えっ!‥頼みって何ですか‥?」
「ワテなぁ、腹減って、腹減ってもう倒れそうなんや!
 ほいでな、ワテはすぐにでもなんか食べたいんや!
 兄さん、展望フロアーまで行くんやろう?
 ほな、ワテのカミさん連れてってくれへんか?」
一方的に喋り捲る大阪弁に気圧され、
「そんなことなら、構いませんが‥。」
「ほな、決まった!頼むでぇ!」
目を落とせば、静かに笑みを浮かべた温和そうな夫人が、
「よろしくお願いします!」と言って、ペコリと頭を下げた。

51階から53階までゆっくりと上昇するエレベーター内で、
その夫人がゆさゆさと膝掛けの毛布を揺らしていた。
53階の扉が開く。車椅子を押して出ようとする足元には、
今度は、夏目漱石やら福沢諭吉の札が無数に落ちていた。

*「お金を拾う」夢判断‥新しい愛を求めている表れ。
 だそうです。そんなに愛に飢えてはいないんですがねぇ‥。
 若いころは、鉄棒の下の砂場にコインがザクザクある
 夢をよくみたんですが‥‥。

by don-viajero | 2010-05-06 20:07 | | Comments(0)