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陽気なイエスタデイ

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2009年 12月 14日

思い出の一冊・Ⅱ

まさに青春真っ盛り、そんなとき出会った一冊。
倉田百三『出家とその弟子』。

そのころ、仏教ばかりでなく、キリスト教を含む
あらゆる宗教に関心があった。

世界三大宗教。
キリスト教、イスラム教、そして仏教。
特にイスラムの人々は、仏教を宗教とは認めていない。
何故なら、イスラムにおける神は「アッラー」であり、
それを伝えたマホメットが存在し、キリストにおける
神は「ゴッド」のもとにイエス・キリストがある。
しかし、仏教はゴータマ・シッダルタという、
一人の人間が説いただけの教えだからだそうだ。

「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」。
『歎異抄』の有名な一節だ。
歎異抄を下じきにして、それを戯曲仕立てにし、
その教義を主調としつつも、蓮の花に、キリスト教の
百合の花の精神がまつわりついている作品である。

恋愛、性欲など青春の一時期、誰もが悩む問題を
率直に投げ出し、それに対する究極の赦しを示した、
青春小説の名作である。

その後、倉田百三の著作『青春の息の痕』、
『愛と認識との出発(たびだち)』、『絶対的生活』、
『青春をいかに生きるか』を立て続けに読み進んでいった。
なかでも『愛と認識との出発』は、当時、阿部次郎の
『三太郎の日記』とともに、戦前の旧制高校において、
もっとも広く、深く読まれた双璧とある。

もちろん、梅原猛の『歎異抄』も、何をか言わんやである。

by don-viajero | 2009-12-14 20:37 | | Comments(0)


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