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陽気なイエスタデイ

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2010年 02月 16日

少年

世の中の仕組みも、大人たちの慣習や常識も知らず、
「生」や「性」に対する執着心もなかった。

真っ暗になるまで、あちこち遊び呆けていた。
そんな仲間たち、誰もが老人になることなど、夢寐(むび)
にも思わなかった時代。
明日の次には、また明日が訪れ、「明日がずっと明るい日」
として続いてゆくものだと信じて疑わなかった。
子どもたちには、無限に広がる宇宙のような未来があった。

それぞれの分かれ道で迷い、誤った人生を送ってしまった
輩もいるだろうし、すでに鬼籍に入ってしまった者もいる。
同時代を過ごした、幼い仲間たちの顔が、セピア色に
浮かんでは消える。

中年も末期を迎えつつある今、人生で一番多感だった、
少年期から若年へと向かい、繰り広げられた成長の想いが、
ときおり、滾々(こんこん)と噴出す泉水のように湧いてくる。

実際、今現在、自身のなかに少年も、若年も、中年も入っている。
いくらトレーニングを重ね、肉体を鍛え、その結果、体力年齢が
『42歳』を表示しようが、体の衰えは感じる。確実に、所々の
パーツが崩れかけている。特に、物覚えを司る脳みその欠落が酷い。
固有名詞がなかなか出てこないのだ。様々な場所を旅して、
新たな地名をインプットされるからまだしも、アルツハイマーや
若年性認知症には、まだ程遠いとは思っているのだが‥‥。
そうやって、近い将来、私のなかにも老年が忍び寄ってくる。

それでも、今もなお、ガキの要素が一番強く残っているのも
確かだ。半世紀以上働き続け(そんなに働かなかったかな?)、
くたびれかけた脳みそのなかで、時代認識が年齢や時間軸を
超えて、ゆるりと、しかも明晰(めいせき)に甦ってくる。

by don-viajero | 2010-02-16 20:04 | エッセー | Comments(0)


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