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陽気なイエスタデイ

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2011年 04月 09日

泡沫(うたかた)の夢

先日、購読新聞紙上に、若い女性被災者のコメントが
あった。「出来得るなら、夢であって欲しい‥‥」
人間の愚行によって引き起こされた争いではなく、
我々日本人、いや世界の人々にとっても泡沫の夢で
あって欲しいと願うほどの甚大な天災だった。

歳を重ね、涙もろくなってきた瞼には、涙がいっぱい
貯まってしまう‥‥。
東北の生き延びた人々のほとんどは前向きに
生きようと、日夜必死にもがいていることだろう‥‥。
ー雨ニモマケズ 風ニモマケズ‥‥ー

ネットやマスコミから流れる数々の批判。
目も耳も覆いたくなるようなざらついた情報に溢れ
かえっている。それが、現実に直面している人々の
ささくれだった神経を逆なでするような、机上の空論の如く
立ち振る舞う彼らにとっての出番であり、批判することが
一番簡単だからなのだろうか‥‥。

私だって、その場に居合わせた被災者だったら‥‥?
そんな泡沫の夢のような思いが過ることもある。
しかし、それは私にとっては現実ではないが、
彼らにはどうしようもなく切ない、理不尽な現実だ。
次の朝、目覚めれば再び現れてしまう光景なのだ。
たとえ、居丈高に気持ちを奮い立たせようとしても、
そこには拭いようのない現実が横たわっている。
ただ、福島原発にしろ、最前線で命を張って
頑張っている者たちがいることを忘れてはなるまい。

震災後一ヶ月が経とうとしている。毎朝届く紙面にも
暗い話題ばかりでなく、心が救われるような明るい記事も
載るようになってきた。

本格的な春が訪れたというのに、心の底には重い錨が
下ろされたままだ‥‥。            

by don-viajero | 2011-04-09 20:32 | エッセー | Comments(0)


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