2012年 01月 13日
遠い‥遠い記憶の奥底を掘り起こしてくれた『Mickey』さんへ‥‥。 碌山館の左右の入口には四人の天使がいる‥‥。 (美術館建設のため奔走した彫刻家・笹村草家人(そうかじん)の作品) 天気の良い開館日には、入口や南に面したドアすべて開放していたから、 カンカラケットバシ中、数人で展示物の陰に隠れたこともあった。 そんなとき、入ったことのない西にある鉄の扉が気になった。 受付のお姉さん(いまでもおばあちゃんとして健在)に気付かれぬよう、 そ~っと開けてみた-ギィ~-鍵がかかってなかった。僅かに開いた 隙間から覗き込むと、狭い空間にスチール製の階段が上へと延びていた。 静寂な館内に突然響き渡った音を聞きつけたお姉さんが、血相を変えて やってきた。「君たち、この扉は絶対、開けては駄目ですよ!」 僕らは口々に「何故?何があるのぉ~?見たいようぉ~!」 「あのねぇ‥この中の階段を昇っていけばベッドがあって、 そこには入口の扉のノブになった天使のミイラが眠っているのよ! でもこのことはヒ・ミ・ツ。内緒よ!みんなとお姉さんだけのね!」 「うそだぁ!」なんて、口を尖らせて文句をいう奴はいなかった。 ただ体をブルッと小さく震わせただけだった。まだ2年生の僕らは、 その話しを何の疑いも無く信じた‥‥。 その年の初夏からの火曜19時半~20時までの時間帯で、『恐怖のミイラ』 (もちろん白黒)が始まっていた。怖いもの見たさで、子供たちみんなにも 評判の番組だった。暗くなれば、包帯をグルグル巻きしたミイラが、後ろに す~っと立ってるんじゃないかって、いつもドキドキヒヤヒヤしていた。 家の中にある、小さな暗い裸電球のポットン便所だって、大声で歌でも 謡いながらじゃなきゃ、怖くて行けたもんじゃなかった‥‥。 『恐怖のミイラ』 因みにその前の放映は『怪傑ハリマオ』だった。
by don-viajero
| 2012-01-13 20:17
| エッセー
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