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陽気なイエスタデイ

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2007年 11月 29日

時流/Ⅱ

地方事務所の窓口で、個人事業税の納税証明書の
発行をしてもらいに行ったときのこと。
何年前のことだったか、とうに忘れてしまった。
ただ、FAXという代物がまだ一般には普及していなかった。

「しばらく待ってください」
書類に必要事項を記入し終え、係りのおっちゃんに渡すと、
なにやらその用紙を機械に突っ込んだ。
数分して別の書類が出てきた。
「今、県庁から送られてきたものです」
「なにか違う回線で繋がっているんですか?」
「いえ、普通の電話回線ですよ!」
唖然としてその紙を眺めた。
電話線の中を文字が走ってきたのだ。これには驚いた。

私の時代だけでも、通信の世界は急速な進歩を遂げた。
ただの電話に始まり、FAX機能、ポケベル、PHS,携帯電話、
パソコン。この先どんな進歩がもたらされる事であろうか?

あの「鉄腕アトム」のお茶の水博士でさえ黒電話で
お喋りしていたのだ。
さすがの虫好きな泉下の手塚治虫氏も、博士やタワシ警部、
ヒゲ親父たちと、この通信の進歩には“苦虫”を
噛み締めていることであろう。

時流。時の流れ。
あまりの速さに破壊し始めた脳みそはついてゆくのに
やっとである。しかし、それとは逆に「三丁目の夕日」が
ヒットしたように昭和の郷愁も存在する。
若いころ「ビッグコミック」の愛読者であった私の
「浮浪雲(はぐれぐも)」とともに好きな作品であった。

遥か古代に思いを馳せ、マヤ、インカ、そしてどこか
蠱惑(こわく)の香りが漂うシルクロードの響きに
誘われるように旅するは「Yesterday」を求め、
時の流れに逆らう自分がいるのかもしれない。

by don-viajero | 2007-11-29 19:41 | エッセー | Comments(0)


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