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陽気なイエスタデイ

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2008年 01月 18日

メコン

乗合ボートは客が8人集まると静かなエンジン音を
響かせて、ゆったりと流れる川幅200mほどのメコンを
ゆっくりと対岸の国境・フェイサイに向かった。

遠い昔、今ではすっかり色褪せたセピア色の記憶のなかから、
トルコからイランへの国境越えが甦った。

こちらは同じ水の上といっても湖上である。
当時、アンカラ発テヘラン行の列車に乗り込んだ。
そのなかでも、同じコンパートメントに乗り合わせた
スペイン人の可愛らしい奥さんセーラ(何れ太っちょに
なるだろうとは思ったが‥‥)を連れ立った石橋さん。
そして小柄で陽気なアメリカ青年ヤングとの過ごした時間を
今でも鮮明に覚えている。
歌を唄ったり、トランプをしたりと楽しい列車旅であった。

たしか、テヘラン行の列車だけが乗客を乗せたまま
切り離され、巨大なフェリーに飲み込まれた。
出入国検査も列車内で済ませ、そのまま
イラン鉄道の軌道に乗ったのだった。

タイ出国もラオス入国も手数料を取られることもなく、
ましてや荷物検査などなく、あっさりと通過。
なんびともパスポートいう身分証明書だけで国境を
行き来できたらどんなにか気楽なことであろうか。

夕食はメコンを隔ててタイ側の低い山並みに沈む夕日を
眺められるレストランで摂った。
どこかオドオドしていて朴訥な従業員たち。

以前、某旅行会社に勤める知人から薦められて応募した
ODAに関する作文。
これに推挙されれば無料でラオスに行けるということで
投稿してみた。
どうせならODAを賛辞するのではなく、とことん批判したほうが
目に留まると思い、痛烈なものを送った。作文の最後に
「だからこそ、ODAの本当の姿を確かめたい‥‥」
というようなものであった。
しかしながら当然の如く没。
それ以来、訪れてみたい国の一つに加えられた。

ほんの20数年前では鎖国同然の状態であった社会主義国も
旧ソ連のペレストロイカ後、隣国ベトナム同様に市場経済化政策は
この国の人々にも変化の激流となって押し寄せたことであろう。

メコンの穏やかな流れだけが彼らを静かに見続けている。
彼方に沈む夕日を眺め、メコンの恵みに感謝するラオスの人々の姿は、
今も昔のままなのだろう。

                  (ルアンパバーンにて)

by don-viajero | 2008-01-18 22:14 | Thai/Laos/Cambodia | Comments(0)


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